主力事業で7四半期連続減収、富士通CFOが語る“反転攻勢への道”:Weekly Memo(2/2 ページ)
富士通が、主力事業で前年同期比7四半期連続減収となった。今後も厳しい状況が続く可能性がある中、どうやって攻勢に転じるのか。
SIの海外展開およびデジタルサービスに注力
では、富士通がテクノロジーソリューション事業において四半期の連続減収から脱し、反転攻勢に打って出るにはどうすればよいのか。塚野氏は決算会見で、反転策として次の2点を挙げて説明した。
まず1つは、テクノロジーソリューションの売上高でおよそ3分の1を占める海外事業の内容を、現在の「マネージドインフラサービス」(MIS)に依存している状況から、「ビジネスアプリケーションシステム」(BAS)中心へと転換を図ることだ。
塚野氏はこのMISおよびBASという言葉を盛んに使っていたので、おそらく富士通社内でも多用されているのだろうが、要は先述したテクノロジーソリューションのサービスにおけるインフラサービスがMISで、ソリューション/SIがBASを指しているようだ。
なぜ、海外事業においてMISからBASへの転換が必要なのか。塚野氏の答えはCFOらしく「増収を図るとともに収益率を大幅に向上させるため」と明快だ。そして「これまで当社の海外事業はMISを展開する企業の買収によって広げてきた背景があるので、現状ではMISが中心になっている。しかし、競争力を強化するためにも、今後は国内で展開しているようなBASを海外でも推進していく必要がある」と強調。すでに2016年来、海外において大掛かりなリソースシフトを図っており、「2017年度下期には効果が目に見える形で表れてくるはずだ」と期待を示した。
もう1つは、人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)などを活用したデジタルサービスの展開だ。塚野氏は「デジタルサービスは本格的に収益に貢献するまで少々時間がかかるかもしれないが、それを少しでも加速させていきたい」と力を込めた。
先に富士通の“先輩格”として21四半期連続減収のIBMの名を挙げたが、デジタルサービスの展開はまさしく両社に共通している課題といえるだろう。いや、厳密に言えば、両社ともデジタルサービスはすでに本腰を入れて取り組んでいるが、旧来の事業に代わって業績の大きな柱になるところまでは至っていないということだ。
前段の話の「海外でのMISからBASへの転換」にしても、言葉遣いは別として、富士通にとってはかねての懸案事項だったと、筆者は記憶している。その意味では、実現させるには相当のテコ入れが必要となる。とはいえ、富士通にはそうした壁をぜひ乗り越えて、「○四半期連続減収」が代名詞にならないように尽力してもらいたいものである。
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