RPA導入でコストが増えた? そんな事態を避けるには:情報インフラ24時 眠らないシステム(1/2 ページ)
RPAを効果的に活用するには、ITILの観点から見る「キャパシティー管理」と「ITサービス業務継続性」が必要になります。RPAが止まったときを例に、2つのキーワードについて解説します。
この記事は中寛之氏のブログ「情報インフラ24時 眠らないシステム」より転載、編集しています。
前回に続き、RPA(Robotic Process Automation:ロボティクスプロセスオートメーション)について、ITIL(Information Technology Infrastructure Library:ITサービスマネジメントのフレームワーク)の視点から考えていきます。
最近、RPAという言葉は、日を追うにつれてますます見かけるようになり、「RPAはなんだかすごそうだ」というムードが高まっています。
RPAでコスト削減できる、というムード
「RPAを導入すればあらゆる業務で人の数を減らせる」と短絡的に考える人はさすがにいませんが、「定型業務にかかわる人数が減って確実にコスト削減できる」と思っている人は少なくないでしょう。事実、多くのRPAベンダーがコスト削減を前面に押し出していますし、Webで見かける先進事例もそれをうたっています。
Volvoでは経理業務でRPAを導入し、請求書の突き合わせ作業を自動化しました。これによって、同作業にかかわるヒューマンオペレーション量は75%も削減したとのことです。
他にも、次のような事例が発表されています。
- 日本生命では、1件あたり数分かかっていた作業にRPAを導入し、20秒程度で処理
- 三菱東京UFJ銀行では、20種類のRPA導入により、8000時間分の事務処理作業を削減
- オリックスグループでは、4人分の仕事を代行できるロボットが1週間で完成
- ユニリーバ・ジャパンでは、人力では3人で7日かかる作業をRPAが半日で完了
RPAの効果が出やすい領域は、次の図の通りです。これに当てはまる業務は、ヒューマンオペレーションの比率を減らしやすいといえます。
※参考:EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング『ロボティック・プロセス・オートメーション』、RPAテクノロジーズ『RPA導入事例』
RPAでコストが増えてしまった!?
しかし、「RPAを導入することで、コストが増えてしまった」と嘆く組織も実際にはあります。彼らがRPAの導入を決めた業務は、上述の条件に反していたわけではありません。ちゃんと定型化された業務を選んで自動化していましたし、例外データが大量であったわけでもありません。むしろ、作業発生回数は多く、1作業あたりの業務量も多かったといえます。
そんなRPAに適するはずの業務で、なぜ想定外のコスト増が生じてしまうのでしょうか。
ITILの観点で分析すると、実は「キャパシティー管理」と「ITサービス業務継続性」の2点が複合的に絡むことで問題になりやすいのです。
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