コレ1枚で分かる「DevOps」:即席!3分で分かるITトレンド
開発(Development)と運用(Operation)が連携し、協力し合うソフトウェア開発手法「DevOps(デブオプス)」について、その原義を振り返りつつ、ビジネスにおける効果を解説します。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きをしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! いまさら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
開発チームと運用チームにとって、「情報システムによって、ビジネスに貢献すること」は共通の目的です。そのためには、ユーザーのビジネスニーズに迅速、柔軟に対応しなくてはなりません。ビジネススピードが加速するいま、両者には、これまでにも増して、即応力が求められています。
ただ、目的は同じでも、両者の果たすべき役割は異なります。
開発チームは、システムに新しい機能を追加することを役割とし、ユーザーからの開発や変更の要求に迅速に対応しようとします。そして、開発チームに「アプリケーションを開発、更新したので、ユーザーにそのメリットを直ちに提供したい。すぐに本番環境に移行してほしい」といった要求をします。
これに対して運用チームは、システムを安定稼働させることを役割とし、本番システムを確実に安定させ、ユーザーに安心して使ってもらうため、ハードウェアの調達や設定、運用手順の整備などを行う必要があり、開発チームの要求に即座に答えることはできません。
このような両者の対立を放置すれば、ビジネスの柔軟性と迅速性を阻害することになります。
そこで、開発(Development)と運用(Operation)が協調・連携し、一体となってこの障害を克服しようという取り組み「DevOps」が注目されています。
具体的には、開発したシステムを直ちに本番システムに反映するための開発チームと運用チームの役割の見直しや、開発者自身の判断で本番システムに移行しても障害を起こすことなく安定運用が担保できる仕組みづくりなどの取り組みを指します。
DevOpsは、このような一連の取り組みによって、開発したシステムの本番への移行を不断に繰り返していく「継続的デプロイメント(Continuous Deployment)」や、ユーザーの検証を直ちに行えるようにする「継続的デリバリー(Continuous Delivery)」の実現を目指します。
ビジネスニーズにいち早く対応し、変化にも即応できるアジャイル開発の「反復型開発」や「継続的インテグレーション」と組み合わせることで、ビジネスの成果に貢献できる開発と運用が実現できるのです。
著者プロフィール:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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