給与を決める上で重視する要素、会社と個人でギャップ:『ビジネス2.0』の視点
優秀なIT人材の獲得競争が激化する中、企業はIT人材をどう評価し、扱うべきなのか。経産省の調査から読み解く。
この記事は林雅之氏のブログ「『ビジネス2.0』の視点」より転載、編集しています。
経済産業省は2017年8月21日、「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」を公表しました。
第四次産業革命と呼ばれる技術革新が進展する中、IT人材はIT関連業界のみならず、あらゆる産業において必要とされています。しかし、人口減少が進む中、今後ますます人材が不足することが予想されています。
こうした中、優秀なIT人材の獲得競争を制するためには、どのようにIT人材を評価し、どんな待遇をすればいいのでしょうか。
経済産業省は、企業がIT関連業界の給与制度や採用の現状、課題について把握し、今後の施策の検討材料とすることを目指してこの調査を実施しています。
調査内容は以下の通りです。
- IT人材に関する業種別・職種別・レベル別等の属性別の給与水準の実態の把握
- IT関連企業の給与制度、給与決定にあたって重視している要素等の把握
- IT関連企業における採用の実態と課題状況の把握
- IT人材の残業時間と勉強時間の把握、属性別の分析
今回は、「IT関連企業の給与制度及び人事評価制度の実態と課題」に焦点を当てます。
給与を決める上で重視する要素、会社と個人でギャップ
IT人材の給与を決める際には、何が重視されているのでしょうか。調査によると、企業側は、「ITスキルレベル」「コミュニケーション(マネジメント)能力」「成果」の影響度を「非常に大きい」「大きい」とする回答が9割と高い水準である一方、年功については3割未満という結果となっています。
その一方で、個人は、「ITスキルレベル」「コミュニケーション(マネジメント)能力」「成果」の影響度を「非常に大きい」「大きい」とする回答が6〜7割である一方、年功については、45%が「非常に大きい」「大きい」と答えており、企業と個人の認識にはややギャップがあることが分かります。
また、それぞれの要素が給与水準に与える影響の大きさを順位付けすると、ITスキルのレベルとコミュニケーション(マネジメント)能力、成果が上位に、年功や企画・発想力、先端分野知識・スキルは下位に置かれています。
「社内で最高水準の年収を達成している人材は何を評価されているのか」という質問に対しては、20代、30代では「実務的技術力及びそれに基づく実績」が、40代、50代においては、「マネジメント能力及びそれに基づく実績」が最高年収の達成要因として最も高い比率であげられています。
関連記事
- 部下がついてこない上司には別の役割を ヤフーが語る「働き方改革の前にすべきこと」
今でこそ、爆速で次々と新サービスを生み出しているヤフーだが、過去には大企業病に陥り、スピード感が停滞してしまったこともある。そんな窮状から脱し、再び成長軌道に乗せるために、ヤフーはどんな改革を行ったのか。 - “名ばかり働き方改革”は、やらない NSSOLとサーバーワークスの本気
ただ「早く帰れ」というだけの“名ばかり働き方改革”が横行する中、“本質を見誤った改革には意味がない”と、本気の改革を進めているのがNSSOLとサーバーワークスだ。社員のモチベーションを高め、利益に貢献する働き方改革はどうすれば実現できるのか。 - 「社員の要望は聞きすぎない」 V字回復ミクシィの「はたらく環境」づくり
V字回復を果たしたミクシィは、“社員のやる気を引き出し、コミュニケーションを創出し続けるため”にどんなオフィス環境を構築しているのか。 - 敵は社内にあり! 抵抗勢力との向き合い方 「選べないメンバーで最強チームを作るには」
メンバーを選べないケースで抵抗勢力に負けない変革チームを作るにはどうしたらいいのか。その方法を伝授します。 - 時給650円のバイトが教えてくれた「働きがい」のある職場の条件
社員がいきいきと働ける職場職場をつくるには、何が必要なのか? そのヒントは、学生時代のファストフードのバイトの経験の中にあった。いったい、バイトの現場で何が起こっていたのだろうか。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.