「社員の要望は聞きすぎない」 V字回復ミクシィの「はたらく環境」づくり(1/2 ページ)
V字回復を果たしたミクシィは、“社員のやる気を引き出し、コミュニケーションを創出し続けるため”にどんなオフィス環境を構築しているのか。
6月27日、品川のコクヨ東京ショールームにて、コクヨ主催のワークスタイル改革セミナーが開催された。テーマは「やる気を引き出し、コミュニケーションを創出する“停滞しない組織”の作り方」。基調講演には、ミクシィの「はたらく環境課」室長として社員のパフォーマンス向上に尽力する橋本貴史氏が登壇し、自社の取り組みについて語った。
情シス・総務・労務が働く環境をワンストップで整備
橋本氏はもともと情報システム部のエンジニア出身。ゲームアプリ「モンスターストライク」(モンスト)がヒットした2014年の夏、社長が今の森田仁基氏に代わったタイミングで社長直下の組織に所属することになった。
モンストの急速な成長が見込まれる中、開発環境に対するエンジニアの要求をスピーディーに吸い上げ、成果を出しやすい環境を作ることを目的とした体制変更だったという。
その後、総務や労務の機能も取り込み、ITインフラ、オフィス環境、就労規則など、社員が働く環境の整備を一手に引き受けるようになって立ち上げられたのが「はたらく環境課」だ。橋本氏は、「ミクシィへの入社から退社後まで、社員が必要なことには全て一気通貫で対応できる、非常に合理的な体制」と胸を張る。
“あるべき働き方”に合った設備を用意し、社員に「押し付けた」
渋谷に本社を構えるミクシィは、モンストのヒットを契機に社員が急増してオフィスが手狭になり、今は同じ渋谷の中で3つのビルに分かれて業務を行っている。互いにドア・ツー・ドアで徒歩10分程度の距離ではあるが、ビルが異なれば社員同士が自然に顔を合わせて交流する機会はどうしても減ってしまう。2016年9月に3つ目のオフィスをオープンする際には、いかにコミュニケーションを活性化するかが課題になった。
オフィス移転やリニューアルに当たって、社員から意見を募る会社は多い。しかし、今回のプロジェクトでミクシィはそれをしなかった。その理由を、橋本さんは次のように説明する。
「どういう設備が必要ですか? といった事前アンケートは取りませんでした。仮眠室が欲しいとかシャワールームが欲しいとか、そういう希望は出てくるでしょう。でも、このビルで解決したいコミュニケーションの活性化について、具体的な解決策が出てくることはないだろうと踏んだんです。どうやったらコミュニケーションが生まれるのかを考え、その仮説を元にオフィスを作り、『この設備でこうやって働いてください』と押し付けてみることにしたんです」(橋本氏)
コミュニケーションを生み出すオフィスにするために、はたらく環境課が注力したのは、"人の存在を感じたり、すれ違ったり"という、「接点をたくさん作る」ことだった。
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