「社員の要望は聞きすぎない」 V字回復ミクシィの「はたらく環境」づくり(2/2 ページ)
V字回復を果たしたミクシィは、“社員のやる気を引き出し、コミュニケーションを創出し続けるため”にどんなオフィス環境を構築しているのか。
具体的には、フロアの入り口を入るとすぐにオープンスペースや会議室などの共有スペースがあり、そこを通り抜けて自席に行くという導線や、フロアの中央にミーティングスペース、自動販売機やお菓子などのある休憩スペースを配置し、人が自然に集まるような工夫をしている。そして最大の特徴は、会議室が全てガラス張りで、誰がいるのかが一目瞭然の状態である点だ。
入居前には「このビルには管理部門も入居しているので、『こんな丸見えのところじゃ、とても会議なんかできない』といった懸念が挙がっていました。今でもたまに言われることがありますが、"オープンな空間で人の存在を感じられること"を目的に、ガラス張りで通しています」(橋本氏)
オフィス移転後の社員アンケートや実際に設備が使われている様子を見ると、おおむね満足度も共有スペースの使用率も高く、「意図通りに使われている」と橋本氏。ガラス張りの会議室に関しては「落ち着かない」といったマイナスの意見もあるが、それも想定済み。それでもやろうと決めたことなので、問題視はしていないそうだ。
会社からのメッセージを理解し、環境を活用できる人のために尽力
ミクシィのオフィス作りのベースには、「設備=会社からのメッセージ」というコンセプトがあると橋本氏は話す。今回のケースでは、新しいオフィスの設備を通じて「もっとコミュニケーションを取ろう」というメッセージを発したわけだ。それをしっかり伝えるため、入居前には社員を集めての説明会も開いたという。
「それぞれの社員がどんな思いを持って働くかは個人の自由ですが、会社の意図をちゃんと理解して、『こういう働き方をしてほしい』ということを伝える説明会を実施しました。その上で、『ビルの設備の案内や、こういうオフィス設備を入れたのはこういう理由です』といった説明書も作り、全員に配布しました」(橋本氏)
働く環境課のミッションは、「組織のパフォーマンス向上」と「会社の利益」を引き出すために、ツールやルール、設備などを提供することだ。
例えばPCは一番良いスペックのものを提供し、業務に使う各種システムはスケジューラーなど最低限必要なところを全社共通でそろえつつ、部門の判断で導入・管理してよいというルールを整備するなど、事業の多角化や社員のパフォーマンスを妨げないことに注力している。
ただ、“何でもかんでも社員の要望を聞く”というわけではない。橋本氏は、「与えられた環境の意味をきちんと理解し、活用できる人のために作ること」が重要だと言う。
「PCのスペックが低いから仕事ができない、オフィスの構造が悪いからコミュニケーションが取れない」
そんな言い訳をさせない環境を提供するから、それをフルに活用してパフォーマンスを上げてほしい――。橋本氏の話からは、会社のそんなメッセージが伝わってくる。
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