コレ1枚で分かる「SDNとNFV」:即席!3分で分かるITトレンド
ネットワークの仮想化技術の1つ「SDN」の特徴を、物理的な接続をベースにした従来のネットワークと比較しながら解説。SDNと併せて使われる「NFV」についても説明します。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! いまさら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
従来、ネットワークの構築は異なる役割や機能を持つ多数の機器をケーブルで接続し、それぞれに手間のかかる設定が必要でした。この常識を変えたのが、SDN(Software-Defined Networking:ソフトウェア定義型ネットワーク)です。
SDNとは、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器の構成や接続ルートなどを、機器の導入や配線などの作業をせずに、ソフトウェアへの設定だけで実現する技術の総称です。
例えば、異なる複数企業のシステム機器が混在して設置されているデータセンターの場合、従来は、独立性を保証するため、それぞれにネットワークを分離して機器も別々に管理しなければなりませんでした。しかし、SDNであれば、全てを1つの物理的なネットワークで構成し、設定だけで個別に独立したネットワークとして機能させることができます。
また、従来はルーターやスイッチなどの機能の違う機器も必要でしたが、設定だけで必要とする機能構成をソフトウェア的に実現することができるNFV(Network Functions Virtualization:ネットワーク機能仮想化)も使われはじめています。全体を一元的に集中制御できるので、個々のネットワーク機器の設定や管理に手間がかかりません。
SDNは、さらに、利用目的に応じた「ポリシー」に従ってネットワークの特性を自由に制御できるようになりました。ポリシーとは、どのように扱うかという方針や制約条件を体系的かつ具体的に定めた規範のことです。例えば、セキュリティを高度に保ちたい、負荷分散を行いたい、音声や映像を途切れないように優先的に処理したいといった、アプリケーションに応じたポリシーを設定し、ネットワーク全体の挙動を制御できるようになったのです。
従来は、運用管理者がポリシーに応じて手作業でネットワーク機器の構成や設定を行っていましたが、SDNにより、これらの作業をネットワーク全体に対して一括して、あるいはアプリケーションからの要求に応じて、自動的で対応できるようになったのです。その結果、ネットワークの運用管理負担が軽減されるとともに、アプリケーションの変更に即応できる柔軟なネットワークが実現しました。
著者プロフィール:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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