“先生”にすべて頼るセキュリティ対策の危うさ:半径300メートルのIT(1/2 ページ)
子供の方が大人よりもネットを使いこなしている時代に、教育現場のセキュリティ対策はどうすればいいのでしょうか。
先日、小学校の先生たちにITセキュリティの話をさせていただく機会がありました。今どきの小学生は、スマートフォンやタブレットを持っているのは当たり前。ITセキュリティに関しては、大人と同じだけの対応が必要になる時代です。そんな生徒たちを教える立場の先生に、いったい何を伝えるべきか――と、とても悩みました。
先生が覚えることが多すぎる?
生徒たちのITセキュリティを考えるためにはまず、「先生」がITに慣れ親しんでいる必要があります。幸いなことに、先生たちのほぼ全員がスマートフォンを持っていたので、まずは「Google Mapのタイムライン」機能の話をしました。この機能を見れば、スマートフォンのなかに(正確にはクラウド上に)どのような情報があるのか、一目で分かるからです。実際、先生方は自分自身の記録をみて、驚いたり、楽しんだり、怖いと思ったりと、さまざまな反応がありました。
スマートフォンはセンサーのかたまりであり、個人情報のかたまりです。そこには名前や住所、電話番号などの分かりやすい個人情報だけでなく、位置情報や写真、SNSのつながり、オンラインバンキングのアカウント情報、Webブラウザの履歴といった個人情報があります。こうした個人のセンシティブな情報を守るための策として、「画面のロックを行うこと」と「パスワードを使い回ししないこと」を紹介しました。
覚えなければならないのは、これだけではありません。脆弱(ぜいじゃく)性をふさぐために、必ずOSのアップデートをしなくてはならないこと、ランサムウェアの被害を軽減するためにバックアップを取る必要があること、そして子どもたちに対しては「SNSの使い方」に気をつかうこと、自己顕示欲から来るさまざまなトラブルが身近にあること、何より著作権法違反や不正ダウンロード、不正アクセスのようなことをして「カジュアルに法を犯さないこと」などなど……。
こうして人に教えてみると、私たちがいかにITセキュリティについて多くのことを覚えなければならないかが、改めて分かります。
今回は90分間という長めの時間をいただきましたが、それでも説明しきれるものではありません。日々、情報をアップデートしていかなくてはならないことをお伝えして、講演を終えました。何か1つでも伝わればいいと思います。
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