AIのカスタマイズをノンプログラミングで 「AIの民主化」を加速させるMicrosoft:Microsoft Focus(1/3 ページ)
“誰でも使えるAI”の提供を目指すMicrosoftが、その取り組みを加速させている。どのようなアプローチで“AIの民主化”を進めているのか。
Microsoftが、「AIの民主化」に向けた取り組みを加速させている。
日本マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者(CTO)の榊原彰氏は、「Microsoftは、社会の重要な課題を解決するために、“作り出す全てのもの”にAI機能を導入していく。そのためには、どの産業分野に対してもAIを提供していくことになり、それがAIの民主化につながる」とする。
現在、Microsoftでは、「Cognitive Services」として、画像認識や音声認識、感情認識、翻訳など29種類のAPIを提供している。それらは、学習済みの機能として提供しており、これをベースにユーザーごとにカスタマイズできる点が特長だという。
例えば、昨今の画像認識技術は、写真に写っている動物が、「犬であるか、猫であるか」を認識するだけでなく、犬だと認識すれば犬種も示すことができるが、その犬を「誰が飼っているのか」、あるいは「その犬の名前は何か」ということまでは分からない。
しかし、MicrosoftのCognitive ServicesのAPIを活用すれば、写真に写っている犬が自分が飼っている犬であり、その名前が「ポチ」であることを教え込ませるようなカスタマイズができる。それによって、膨大な写真の中から、「自分が飼っているポチ」が写っている写真を検索し、名前とともに表示してくれる。
「こうしたユーザーごとのカスタマイズを、ノンプログラミングで行えるのがCognitive Servicesの特長。これは他社が手掛けていないところ」(榊原氏)
このようなカスタマイズ機能は、ビジネスシーンでも活用されている。その一例が、米McDonald'sのドライブスルーでの導入だ。
音声認識技術の「Vision API」を利用し、ドライブスルーで顧客がマイクに向かってオーダーした内容をテキストに変換して画面に表示し、それを基に注文を受けて、支払いの計算まで行う。McDonald'sのメニュー名などに特化した形で学習を繰り返すことで認識精度を高めた結果、スタッフによる注文時に発生していた複雑なオーダーの聞き間違いが大幅に減り、正確な受注と、スタッフの省力化を実現しているという。
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