NEC、ベクトルプロセッサとx86プロセッサのハイブリッドスパコン「SX-Aurora TSUBASA」を発売
NECのベクトル型スーパーコンピュータの最新機種「SX-Aurora TSUBASA」が発表された。ベクトルプロセッサとメモリを搭載したPCIeカード形状の「ベクトルエンジン(VE)」を搭載する。
NECは10月25日、処理性能と拡張性を強化したベクトル型スーパーコンピュータの最新機種「SX-Aurora TSUBASA(エスエックス・オーロラ・ツバサ)」を、国内および海外向けに販売すると発表した。HPC領域の科学技術計算に加え、AIやビッグデータ解析、資源探査、画像解析、セキュリティ領域などへの利用拡大を見込む。
SX-Aurora TSUBASAは、アプリケーション演算処理を行う「ベクトルエンジン(VE)」と、主にOS処理を行う「ベクトルホスト(VH)」から構成される。VEは、ベクトルプロセッサと高速メモリを搭載し、PCI Express規格のカード形状でx86/LinuxノードのVHとPCIe経由で接続される。
VEに搭載されるベクトルプロセッサは、プロセッサ内に広帯域幅メモリを6枚搭載し、単一コア性能307ギガフロップス、単一コアメモリ帯域150GB/秒を実現した高性能コアを8コア採用し、2.45テラフロップスの演算性能と1.2テラバイト/秒のメモリ帯域を実現。
これにより、多数のプロセッサが必要とされるスカラ型並列コンピュータと比較して、少ないプロセッサ数でも、複雑な科学技術計算で高い性能が得られ、並列プログラミングの負担も軽減されるという。
SX-Aurora TSUBASAは、VEをx86サーバ(OS:Linux)と連動可能にした新しいアーキテクチャを採用したことで、ベクトル演算に加え、x86で行うスカラ演算の両ニーズに対応。スカラー(x86)向けアプリケーションはVHで稼働させ、ベクトル性能が高いアプリケーションはVEで稼働させるなど、ハイブリッド環境を実現する。
VEの性能を引き出すためのソフトウェア環境としては、従来のSXシリーズと同様に、NEC独自のベクトルコンパイラ、分散並列化ソフト「NEC MPI」、分散、並列ファイルシステム「NEC Scalable Technology FileSystem:ScaTeFS」、ジョブスケジューラ「NEC Network Queuing System V:NQSV」などのソフトウェアを提供し、高度なアプリケーション開発と安定したシステム運用を支援するとしている。
SX-Aurora TSUBASAは、VEの搭載数により複数のモデルが用意され、1枚を搭載するタワー型のエッジモデル(A100-1)、最大2枚、4枚、8枚まで搭載できるラックマウント型のオンサイモデル(A300-2、A300-4、A300-8)、最大64枚まで搭載できるデータセンタモデル(A500-64)を用意している。いずれのモデルも、現行機種「SX-ACE」と比較し、性能あたりの消費電力を5分の1に、設置面積を10分の1に低減したとのこと。
最小構成価格は、エッジモデルとオンサイトモデルが170万円(税込)から、データセンタモデルが1億2千万円(税込)から。出荷開始は、エッジモデルとオンサイトモデルが2018年2月以降、データセンタモデルが2018年7〜9月となる。
NECでは、販売目標を今後3年間で1000億円と計画している。
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