企業の「働き方改革」は人事部から始めるべき――そう考えるたった1つの理由:【新連載】人事×RPAで始める「働き方改革」(1/3 ページ)
日本全体でトレンドとなっている「働き方改革」。検討する企業が増えてきていますが、それを実現するためには、まず人事部から始めるのが「一番の近道」だと考えます。その理由は……。
政府も提唱しており、ITというカテゴリを超え、今の日本のトレンドになっている「働き方改革」。内閣官房に「働き方改革実現推進室」が設立されてから約1年がたち、国内の各企業では、いかにして「働き方改革」を実現するかというテーマが話題に上がることがとても多くなりました。
私は普段、オデッセイという企業で、人事部門向けにタレントマネジメントやRPAなどのソリューションを展開していますが、この連載では、働き方改革に挑戦するさまざまな企業を見てきた私の経験から、どのようにITを使って働き方改革を進めるべきかを紹介できればと思っています。
今、社員が「14%」減っても仕事を回せるか?
政府が働き方改革を推進する背景には、労働人口の急速な減少があります。総務省の試算では、2030年には6773万人となっています。
これは2013年に比べて約1100万人(14%)もの“働き手”が減る計算なのですが、日本企業は、人手不足が常態化するなかで、やりくりしてきた経験があるせいか、働き手が1000万人以上減るといっても、あまりリアリティを持って捉えていない――誤解を恐れずに言えば、「なんとかなる」とたかを括っている人が多いように感じます。
しかし、過去のデータと比較することで厳しい実態が見えてきます。1995年から2013年の18年間で減少した労働人口は834万人。割合にすると約9.6%です。単純に減少率を比較すると、今後はその1.5倍のペース。今この瞬間、あなたの会社の社員が14%減ったとして、果たして仕事は順調に回るでしょうか? まさに日本企業は「未曽有の人手不足時代」に突入しているのです。
この人手不足に対して、生産性を向上させて乗り切ろうというのが、働き方改革の大きな目的ですが、政府はさらに、労働時間を短縮して、余暇の時間を作り出すことを推進しようとしています。そのため、日本企業は労働人口が大幅に減少するなかで、長時間勤務の抑制を今以上に厳しく求められることになるでしょう。
先日、大和総研がまとめた予測では、政府が検討中の「働き方改革実現法案」で定めようとしている残業時間の上限案である「年間720時間」にまで時間外労働を抑えた場合、残業代が最大8.5兆円減少するといいます(削減された賃金が他の労働者に分配されなかった場合)。
この削減された残業時間を埋めるためには、240万人のフルタイム労働者が必要になる、との分析結果が発表されています。労働者の数も稼働時間も減る状況では、不足する労働力を補う対策なしでは、企業の業績維持は非常に困難でしょう。単に「早く帰れ」というだけでは、何の解決にもならないのです。
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