JR西日本、安全管理の情報基盤を刷新 事故予測対策を強化
事故の未然防止に取り組むJR西日本は、情報基盤を刷新し、「ABeam Cloud」の多次元分析ツール「HyperCube」を活用した事故の予測分析ツールも導入した。
西日本旅客鉄道(JR西日本)は、リスクアセスメントに基づく安全性向上施策の一環として「安全マネジメント統合システム」を構築し、12月1日から全社に導入する。
リスクアセスメントとは、リスクを定量化した上で優先して対処すべきものに対して適切な対策を実行する取り組み。JR西日本では、2008年からリスクアセスメントを活用し、実際に発生した事象(鉄道運転事故、注意事象、輸送障害、安全報告、労働災害)や社員の気付きなどの「安全に関する情報」を基に、想定されるリスクへの対策を講じてきた。
今回、この取り組みの強化に向け、安全に関する情報とリスクアセスメント関連の情報を1つのデータベースで一元管理し、全ての情報を閲覧、検索できるシステムを構築。従来は会議などを通じて情報を周知していたが、新システムの導入により他部署の優れたリスク対策を迅速に取り入れられるようにするなど、より緊密な情報共有を目指す。
新システムには、過去の発生事象を天候、線区、曜日や時間帯などの条件で分析し、事故が起こりやすくなる条件や傾向などを予測する機能を装備。分析結果の把握により、新たなリスクの気付きを得られるとしている。
この分析機能は、アビームコンサルティングのクラウド型ERPサービス「ABeam Cloud」で提供される多次元分析ツール「HyperCube」を活用して構築。HyperCubeは、独自のアルゴリズムを活用するアプローチにより、仮説が不要で事象(機会やリスク)全体を網羅的に探索し、発生条件を特定できるという。
関連記事
- 大和ハウス工業、RPA導入で働き方改革推進へ
ソフトウェアロボット「BizRobo!」を活用したRPAを導入し、働き方改革や経営管理の高度化を図りながら、基幹システムに関わる業務を自動化した。 - SAP S/4HANAもクラウド化――Azureに仮想マシン「Gシリーズ」追加
日本マイクロソフトが、Azureの日本データセンター東日本リージョンにおいて、SAPのERP製品などを中心としたミッションクリティカルな基幹業務システムの提供も可能な仮想マシン「Gシリーズ」を追加した。 - JR東日本が山手線に導入した、故障予知の秘密兵器
さまざまなデータがあるものの、まだシステムがバラバラで、分野をまたがった分析などができないというJR東日本。同社は社内のデータを横断的に利用できる、クラウドシステムプラットフォームを構築しようとしている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.