元号変更で「2019年問題」は起こるのか?:半径300メートルのIT(1/2 ページ)
2019年5月1日からスタートすることが決まった新元号。この「元号が変わる」ことにまつわる懸念をIT視点で見てみると……。
報道によると、平成の時代は2019年4月30日で幕を閉じ、5月1日から新元号が施行されることに決まったようです。
「5月1日が祝日になれば、まさかの10連休」という話が盛り上がる中、IT関係者の間では、「2000年問題の悪夢」を思い出した人も少なくないようです。
2000年、システムに何が起こったのか
2000年問題とは、1999年から2000年になった時に、それまで稼働していたプログラムが2000年を認識できずにさまざまなトラブルを起こすというもの。「なぜ、そんなことで問題がおきるの?」と思うかもしれませんが、当時のプログラミングテクニックでは、メモリを節約するために西暦の下2桁しか記録していないケースも多く、1999年から2000年になった瞬間にシステム側が「1900年」と認識してしまうことも多かったのです。
こうした事態を防ぐために、多くのエンジニアが2000年問題の対処に動員されたのです。当時、エンジニアだった私は、停電やテレビの放送が止まるくらいのことは覚悟していたのですが、結果として大きな問題はほぼ起きなかったように記憶しています。
もう18年近くも前の話ですが、当時、大変な思いをしたエンジニアは、今回の元号変更の発表を聞いて対処の大変さが頭をよぎったはずです。2000年問題ほどではないにせよ、帳票の出力を調整する作業量に思いを巡らせたり、待機を考えたりしたのではないでしょうか。個人的には2019年が平成と新元号を両方持つ特別な年になるため、範囲指定の処理が複雑になるのではないかと思っています。
10連休などは夢のまた夢――。そんなエンジニアの皆さんには感謝しかありません。
2000年問題はシステムの根幹部分にあり、さまざまな影響があると予想できたことから大きな問題になったわけですが、今回の元号変更に伴う影響はそれに比べると軽微なものになりそうです。
なぜなら、今、稼働しているシステムは西暦をベースにしたものが大半でしょうし、元号を使っていたとしても変更を想定しているものがほとんどです。
実際、私が担当していた海外製の会計パッケージソフトでも、元号設定どころか、消費税の税率期間設定を含む各国の特殊な事例を吸収するための設定項目が網羅されていて、しっかりと対応できていました。
「新元号問題」はシステムが止まるような大きな問題ではなく、個人的には帳票の出力がおかしくなるといった小さな問題にとどまるのではないかと考えています。
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