AIを駆使したMicrosoftのインサイドセールス、その効果は:Microsoft Focus(2/3 ページ)
7月にクラウドシフトへかじを切った日本マイクロソフトに新設されたインサイドセールス事業本部が、AIをはじめとする最新技術を活用したデジタルセリングを行い、自らMicrosoft製品を駆使したデジタルトランスフォーメーション(DX)を実践している。その狙いとは。
AIを駆使したデジタルセリングでクラウド時代の顧客接点を高度化
その他にも、インサイドセールス事業本部は、これまでのインサイドセールスと異なる理由がいくつかある。
1つは、従来のインサイドセールスは、パートナービジネスや中堅中小企業向けビジネスを統括していたゼネラルビジネス部門のなかに組み込まれていたが、これを独立した組織にする一方で、外部委託の体制から、日本マイクロソフト社員による運用体制へと移行した点である。
ここでは、高い技術スキルを持つ人材や、コンサンプションモデルのビジネスに長けている人材を新たに雇用し、急ピッチで陣容を強化している。顧客やパートナーに対して、技術面からもしっかりとサポートする体制を整えているのだ。
また、この組織が、グローバルでの組織再編をベースとして、新設された組織である点も見逃せない。
米Microsoftでは、2016年7月に、米ノースダコタ州のファーゴに最初のインサイドセールスセンターを約700人規模で設置。北米エリアを対象にしたインサイドセールスを開始した。続いて、2017年2月にはアイルランドのダブリン、2017年4月にはオーストラリアのシドニーと中米コスタリカにそれぞれインサイドセールスセンターを設置し、世界全体をカバーする体制を敷いた。その上で、日本では2017年7月から、インサイドセールスセンターのサテライトオフィスを、東京・品川の日本マイクロソフト本社内に設置。70人体制でスタートしている。同時期に、中国、インドにもサテライトオフィスを設置している。また2018年度中には、米テキサス州ダラスにインサイドセールスセンターを増設する計画を打ち出している。
さらに、これに伴って、世界中の技術者のリソースを活用する体制も整えている。世界各地のインサイドセールスセンターとサテライトオフィスに在籍している技術者のスキルや経験などを表示する「スペシャリストファインダー」というツールを活用して、顧客から寄せられた専門性の高い技術的質問に対して、最適な人材を自動的に見つけ出し、リクエストをすれば、「Skype for Business」などを通じて対応してくれる。返答は、24時間以内に行うことが原則となっており、迅速に回答を得られる。
全世界で5000件以上のリクエストが寄せられており、日本の技術者に対しても、200件以上のリクエストが寄せられているという。
だが、最大の違いは、インサイドセールス事業本部が、AIなどの最新技術を活用し、クラウド時代における新たな顧客との関係構築やアプローチを行う「デジタルセリング」の組織となっている点だ。
その象徴ともいえるのが、AIを活用したリード管理システム「Deep CRM」である。各種データを基に見込み客の行動を分析し、そこから最適な提案を行うという。また、Deep CRMは、全世界で24時間365日の学習を続け、それによって進化を続けており、より高い精度での案件創出が可能になるという。実際に、海外では商談につながる正解率が85%に達するという成果が上がっている。
「AIがサポーターになり、より効率的なデジタルセリングを可能にしている」という。インサイドセールス事業本部にとって、AIを活用したDeep CRMは、まさに中核となるデジタルツールだ。
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