ヒヤッと、ペタッとしない、新しい使用感の触感型VRコントローラー H2LとNTTが開発
H2LとNTTは、肌に触れる電極部分に、従来のハイドロゲル(ゲル)電極に代わり、東レの機能素材「hitoe」を使って装着感や機能を向上した触感型VRコントローラー「UnlimitedHand」を開発。ユーザーに新たな触覚体験を提供することを目指す。
H2Lと日本電信電話(NTT)は2018年1月9日、H2Lが製造販売する触感型VRコントローラー「UnlimitedHand」に、NTTと東レが共同開発した機能素材「hitoe」を採用し、VR(Virtual Reality)やAR(Augmented Reality)に自然な触覚共有体験を与える触感型インタフェースを開発したと発表した。
UnlimitedHandは、モーションセンサーと筋変位センサーアレイを内蔵し、手の動きを捉えてVRゲームに入力する手指モーションキャプチャー技術と、端末から腕に印加される機能的電気刺激で手の筋肉を収縮させてユーザーに疑似的な触感を与える電気的筋肉刺激(EMS)コントロール技術を応用したデバイスで、腕に巻いて装着し、ゲームなどの仮想世界の疑似的な触感を自らの手で体感できる。
これまで、皮膚に接触する部分にはハイドロゲル(ゲル)電極を使用してきたが、肌への粘着質な接触による不快感、乾燥によるゲルの硬化や皮膚接触電気抵抗の増大による交換などの手間、洗浄できないことによる不衛生などの理由により、全てのユーザーを満足させることは困難だったという。
今回、ゲル電極部分を導電性を持つ機能素材hitoeに置き換えた。hitoeは、ナノファイバー生地に高導電性樹脂を特殊コーティングした生地で、非金属素材でありながら生体信号を高感度に検出できる。
hitoeを導入することにより、爽快な装着感が得られる、乾燥による劣化を気にすることなく長期使用が可能になる、100回以上の洗濯耐性を有することによる衛生面の向上が得られるなど、ユーザーに高い満足感を提供できるようになったとしている。
さらに、新デバイスは、ゲル電極では各人の肌の状態によっては十分な疑似触感が得られない動作条件下においても使用可能となり、触感提示性能を向上させたという。
H2Lでは、これまでUnlimitedHandは、主にゲーム開発者など、専門的な知識を有するユーザーに利用されてきたが、今回の性能向上により、より一般的なユーザーに向けて展開できるようになったとしており、今後、VRテーマパークなどのアミューズメント施設やエンターテインメント企業向けの展開を進めていくとしている。
なお、製品化および販売については、動態展示をもとに今後検討を進めていく予定だという。
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