事例で解説する、超高速開発に向く案件と向かない案件:本当はうさんくさくない、超高速開発のリアル(4/4 ページ)
超高速開発は、従来のシステム開発の課題を全て解決するわけではありません。実際の導入事例を参照しながら、どんな案件が超高速開発に向いているのか見極めるコツを伝授します。
まとめ
連載第2回は、超高速開発の特性を事例ベースで次のように整理しました。
- 開発標準と開発工程の省略で短期、高生産性を実現する。ただし、ロックインに対する割り切りは必要
- エンドユーザーと共に画面を見ながら要件定義することで手戻りを防止し、高い満足度を実現する。ただし、要件の肥大化には注意が必要
- 定型化・標準化により生産性向上と高品質を実現する。故に、複雑な画面開発は苦手
- ノンコーディングで実装技術が不要。ただし、個々のアプリケーションに最適な性能を作り込むための設計技術は必要
「実行エンジン型」であるFastAPPを適用した案件の中で実際に起きた事例を通して、超高速開発に共通するケースを紹介しました。連載第1回で、超高速開発ツールは「スーツのセミオーダーのようなもの」と説明しましたが、今回は適用シーンの判断基準を事例を通じてより具体的に紹介したわけです。皆さんの会社でも適用できそうなケースがあるのではないでしょうか。「あそこで使えそうだ」「全部は無理だけど、管理系になら使えるんじゃないか」などと考えるきっかけになればうれしいです。
超高速開発ツールは、日々進化しています。以前できなかったことも、新機能で解決していたり、別のツールでは実現できていたりすることもあります。また、「実行エンジン型」と「ソースコード生成型」でも特徴が異なります(コラム「超高速開発ツールの種別」参照)。自社のユースケースに合うツールや事例がないか、知見を得るために「超高速開発コミュニティー」が毎月開催しているユーザー事例セミナーにご参加いただくことをお勧めします。
次回は超高速開発の最新事情と今後についてご紹介します。
コラム: 超高速開発ツールの種別
超高速開発ツールは、「実行エンジン型」と「ソースコード生成型」の2つに大別されます。
実行エンジン型は、プログラミング言語でいうスクリプト(インタプリタ型言語)のように、作ったら即時実行できるのに対し、ソースコード生成型は、コンパイラ型言語のように、コンパイルし、実行環境にデプロイしてから実行するタイプです。
実行エンジン型 | ソースコード生成型 | |
---|---|---|
設計情報 | リポジトリに格納 | リポジトリに格納 |
実行環境 | 開発ツールと実行環境が一体 | 開発ツールと実行環境が異なる |
実行方法 | 実行環境がユーザーからの操作リクエストを受けて、設計情報をもとにエンジンが随時、動的に画面を生成して返す。 | 設計情報から生成したソースコードをコンパイルした結果のモジュールをサーバ上で実行する。 |
著者プロフィール:堀井大砂(ほりい おおさ)
SCSK シニアプロフェッショナルITアーキテクト。
CSK入社後、情報システム部門で開発や運用を担当。IT企画部門を経て、現在は事業部門でFastAPPのプロダクトオーナー兼アーキテクトを務める。超高速開発コミュニティー幹事。
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