コレ1枚で分かる「超高速開発ツール」【改訂版】:即席!3分で分かるITトレンド
迅速かつ柔軟なアプリケーション開発を支援してくれる「超高速開発ツール」について、特徴と効果をまとめます。
ハードウェア性能の劇的な向上やクラウドの普及に比べ、アプリケーション開発は、それに見合う生産性の向上を果たしてきたとはいえません。この課題を解決する手段として「超高速開発ツール」が注目されています。
超高速開発ツールは、業務の手順や帳票の書式、画面のレイアウトを入力すれば、プログラムやデータベースを自動で生成してくれます。プログラミングのスキルがなくてもアプリケーションを開発ができるので、現場のアイデアをすぐに形にする、あるいはニーズの変化に即応して日々の継続的な改修や改善をするといったことが容易になります。また、業務手順を入力すれば自動でプログラミングされるので、業務プロセスが可視化されプログラマーによる属人化も排除できます。
ただ、アプリケーション開発の全工程をカバーするものではありません。例えば、以下の作業は、これまでと変わりません。
- ビジネスゴールの設定や業務分析
- ユーザーを巻き込んで業務要件を明確にするための議論
- 品質管理を含めたプロジェクト管理
- ユーザーの使い勝手や非機能要件への対応など
一方で、概要設計、詳細設計、コーディング、テストなどの人手のかかる工程は、大幅に工数を減らすことができます。
このような特徴から、新たなアプリケーションを開発する場合には、これらの作業を含めることになりますので、工数削減の効果は限定的ですが、一度作ったアプリケーションの保守、改修の生産性は大幅に向上することが期待できます。
また、画面設計や操作性の自由度が制約されることもあり、あらかじめ仕様が厳格に定められた大規模システムを納期通りに開発するといった用途となると、使い勝手が悪いかもしれません。
一方で、小規模で変更が頻繁に求められる、あるいは要件を詰めながら開発も並行して進めなくてはならない場合には効果的で、アジャイル開発やDevOpsと組み合わせることで、さらにその真価を引き出すことができるでしょう。
あるSI事業者では、超高速開発ツールを受託開発に使ったことで、“最新の開発環境に限界を感じているが、業務に精通し、ファシリテーション能力に秀でたシニアのエンジニア”に、さらなる活躍の場を与えられたとのことでした。
一方で、SI事業者の中には、このようなツールを受託開発案件で使用することは作業工数の大幅な減少をもたらすことから積極的に使いたくないと考えるところもあります。また、現場の要求に「完全」に応えられないので難しいと考える情報システム部門もあるようです。
しかし、エンドユーザーが手に入れたいのは、結果としてのサービスであり、ビジネス価値です。ビジネス環境がめまぐるしく変化する時代に、業務ニーズに対応する情報システムをいち早く実現し、ビジネス環境の変化に迅速、柔軟に対応していくことが、何よりも優先される状況にあって、超高速開発ツールは有効な選択肢となるはずです。
著者プロフィール:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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