「ブロードバンド大国、日本」の会社員は、いつまで大雪の日に出社するのか:半径300メートルのIT(2/2 ページ)
ブロードバンドネットワークもPCもスマートフォンも普及し、テレワーク活用の準備は万端なのに、日本の会社員はいつまで交通機関がマヒするような大雪の日に会社に行くのでしょうか。
「テレワークにはコストがかかる」という先入観を捨てよう
テレワークがなかなか導入されない理由の1つはコストなのかもしれません。確かに、テレワークを構成する要素、例えば「VPN」「テレビ会議」「電話」「チャット」などを導入するにはコストがかかります。しかし、実はそのほとんどは、無料のツールで実現できますし、むしろ今の学生たちは、当たり前のようにそれらの機能を使っているはずです。
ならば、こうした無料で提供されているツールを使って、まずは「簡易テレワーク」のテストをしておくべきでしょう。チャットやテレビ会議は「Googleハングアウト」や「Facebookメッセンジャー」「Skype」「LINE」でも十分試すことができます。機材も、高価なテレビ会議セットを用意しなくても、今あるスマホやPCの内蔵カメラで十分なはず。本来は情報漏えい対策としてのファイル暗号化などの対策が必要ですが……まずは“会議”だけでも試しておくといいでしょう。
無料版のサービスは企業向けのものではないので、機密性の高い会話などには向きませんが、まずはこれらを体験し、何ができるか、何ができないかを把握することが重要です。
平常時にテストをしておけば、「明日は大雪」と分かった時点で、気軽にテレワークに切り替えられるようになるでしょう。もちろん、テレワークを安全に活用するためには、ITセキュリティのリテラシーを高め、「PCやスマートフォンのOS、アプリ、Webブラウザのアップデートを適用し、最新の状態にする」「離席時には必ずPCにロックをかけ、肌身離さず管理する」「デバイスの紛失時には即座に企業に報告を入れる」などのルール作りも忘れてはなりません。
普段からチャットやテレビ会議に慣れておけば、不測の事態が起こった時に、すぐ対応できるようになります。介護離職も他人ごとではない時代、場所を選ばず働けることがどれだけ心強いかは、想像に難くありません。次の「大雪」の前に、準備してみてはいかがでしょうか。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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