AIとITに横たわるエンジニアの溝を埋める「LiCO for AI」を開発――AIに注力するレノボの狙い(2/2 ページ)
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズが、AI/HPC分野の戦略を発表、AI基盤に最適化した運用環境「LiCO for AI」や常温水冷サーバなどを順次投入する。
過去最高の冷却効率を実現した常温水冷サーバ「ThinkSystem SD650」
LiCOとともに開発表明されたのが、AI/HPC向けのスケーラブルストレージソリューション「IBM Spectrum Scale向け Lenovo 分散型ストレージ・ソリューション 2.0」だ。このLenovo Distributed Storage Solution for IBM Spectrum Space(DSS-G)は、最大約5PBまでの大容量ストレージを提供でき、ハードウェアとソフトウェアをラックに組み込んでケーブルがつながれた状態で提供される。大規模で高速なデータのやりとりが必要となるHPC/AIのワークロードに適しており、価格や発売時期などは3月中に正式発表される見込みだ。
常温水冷サーバのThinkSystem SD650は、同社として第3世代にあたる水冷システムだ。メモリやCPU、ストレージ、GPUを直接水で冷却するDirect Water Coolingテクノロジーを採用することで、同社内では過去最高の高い冷却効率を実現したという。これにより、空冷サーバと比較して最大10%の性能アップを実現するほか、同等の空冷システムよりも約40%少ない消費電力で済むことで電気代を大幅に削減できるとする。
なお、ThinkSystem SD650の常温水冷サーバシステムには水の熱交換器(Coolant Distribution Unit)が必須で、ノルディックの日本代理店である東亜電気工業が提供する。また、空冷タイプの「ThinkSystem SR650」と「ThinkSystem SD530」がNVIDIA Tesla V100のサポートを開始し、深層学習にかかる時間が大幅に短縮可能になる。さらにCPUやGPUを選ぶだけですぐに提供できる「ThinkSystem SR650 GPU Readyモデル」も用意される。
同社では、LiCOは大規模なAI学習研究環境がある金融機関、製造系の大手、公共系の研究所、ヘルスケア分野での利用を想定しており、中小中堅企業に関しては、GPU搭載モデルを安価に提供してほしいという要望があるので、Readyモデルなどで対応する(早川氏)と見通しを述べた。
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