東京海上日動にある「若者しかいない」開発部門――メンバーは全員20代、入社5年目未満(3/4 ページ)
管理職を除く全員が20代で、入社5年目未満だけ――東京海上日動システムズのアプリケーション開発部門は一風変わった組織だ。理系男子から文系女子まで、その出自やスキルもさまざま。これで本当に仕事は回るの……?
月1面談、課外活動や社内副業の推奨でメンバーの興味関心を引き出す
この部署にいるほとんどのメンバーが、3〜4年以内には他部署に異動していく。山田さんは、各メンバーの志向や適性を見ながら、どの部署に送り出すのが良いかということも考えているという。
例えば、入社2年目の工藤貴央さんは、アプリケーション開発部から人事部に異動し、春からの新入社員研修の企画をしている。アプリケーション開発部で早くから後輩を指導する機会があったからこそ、「人に教えることが得意」という適性を見いだされたのだろう。
他にも、各自の興味関心や隠れたモチベーションを引き出す機会をたくさん作るのが山田さん流だ。例えば、全メンバーが月に1度、山田さんと本部長と3人での個別面談を行う。面談では業務の話はほとんどせず、各自が今興味を持っていることなどを話すそうだ。
研修では落ちこぼれだった松谷さんは、OJTでプログラミングの基礎が分かるようになり、その後UI/UX(User Experience=ユーザー体験)デザインに興味を持つようになった。月に1度の面談の際には、外部研修で学んで感動したAdobeのPhotoshopとIllustratorの機能について、えんえんと語ったこともあるという。
各メンバーの興味関心は、デザインやデータ分析、機械学習、RPAなど多岐にわたる。社外研修やハッカソンに参加したり、部内で仲間を募って勉強したりという課外活動も盛んに行われているようだ。
また、他部署の仕事を手伝う“社内副業”的な活動をしているメンバーも多い。例えば入社2年目の光岡高宏さんは、グループ会社が開催するイベントのWebサイトの立ち上げに手を挙げ、サーバの設定からデザインまでを担当した。
最近では、社内で同部の存在が知られるようになり、「システムやWebサイトのデザインに手を貸してほしい」といった他部署からの相談が増えている。そんなときに山田さんは、部内でやりたい人を募ったり、興味がありそうなメンバーに直接声をかけたりして、どんどんチャレンジするよう促している。
関連記事
- 「優秀な若手は5年で必ず現場へ異動」 三井住友カードの情シスキャリアパスがすごい
デジタルトランスフォーメーションを進める人材を社内で育てるのは難しい。しかし、その難題に正面から取り組んでいるのが、カード業界大手の三井住友カードだ。同社では優秀なIT部門の若手を、あえてビジネス部門へ異動させているのだという。 - 「新卒の8割が辞めていく」 そんな企業を激変させた“新しい組織の形”
5年前まで、新卒採用者の8割が辞めてしまうという悲惨な状態だったネットプロテクションズ。しかし地道な改革の結果、今では新卒がほとんど辞めなくなったばかりか、若手が大活躍しているという。いったい何が起こったのか。 - 若手社員が辞めない職場づくりとは?
若手社員(とくに入社3年未満)が会社に求めているものとは? - みずほ銀行、2400万人の顧客データベース構築に挑んだ11年の歴史
取引履歴やプロファイルといったデータを基に、顧客の価値観をつかみ、行動を事前に察知する――そんな新たなマーケティングに「みずほ銀行」が挑戦している。その裏には、10年以上にわたる、地道なDB強化の取り組みを続けた女性がいるのをご存じだろうか。 - イマドキの“学生プログラマー”は何を考えているの?
東京・秋葉原で世界初という競技プログラミングの祭典「CODE FESTIVAL 2014」が開催された。今の「学生プログラマー」はどんなきっかけでプログラミングの世界に入り、何を目指しているのか。参加者の大学生たちに話を聞いてみた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.