東京海上日動にある「若者しかいない」開発部門――メンバーは全員20代、入社5年目未満(4/4 ページ)
管理職を除く全員が20代で、入社5年目未満だけ――東京海上日動システムズのアプリケーション開発部門は一風変わった組織だ。理系男子から文系女子まで、その出自やスキルもさまざま。これで本当に仕事は回るの……?
自分から「やりたい」と思える仕事があることが、全体の生産性向上にもつながる
「『これをやりたい』と言ったことを山田さんが応援してくれて、いろいろなきっかけをくれるのが、とてもありがたい」と話すのは、入社2年目の上野真優さん。アプリケーション開発部では、保険の帳票を出力する機能の開発などをしているが、最近は他部署のデータ分析チームにも所属し、データ分析の実務を学んでいる。
世の中のマネジャーを見れば、部下には自分の仕事だけに専念してほしいと考える人が多数派かもしれない。しかし山田さんは「自分がやりたい、面白いと思う仕事が1つでもできれば、全体の生産性も上がる」と思っている。
「例えば人事部から、『Webページを刷新したいので、就活生にアピールするようなデザインを若い人たちに考えてほしい』という話がありました。手を挙げてくれたメンバーは、他社のWebサイトを見る際の視点が変わり、『この会社のページはカッコいい』と話し合ったり、『こういうデザインを取り入れたい』と提案したりしてくれるようになりました。そうやっていくうちに、意識や技術が向上するだけでなく、それを見ていた周りのメンバーも、デザインをやりたいとか、データ分析をやりたいとかと積極的に言ってくれるようになって、良い刺激になっていると思います」(山田さん)
技術やノウハウの獲得はメンバー同士の教え合いに委ね、各自の行動には大きな自由を与えつつ、マネジャーとして特に気を配るのは、それぞれの興味や向上心をうまく刺激するようなチャンスを作ること――。ここに今どきの若者のやる気と能力を引き出すポイントがありそうだ。
自身もさまざまな部署を経験してきたという山田さん。「最初はとにかくさまざまな経験を積むのが大事だと考えている。“社内副業”的な動きも含め、興味関心に合わせた環境を作ることで、社内の課題に対して、楽しく、前向きな気持ちで取り組めているように感じる」という。ここから巣立つ若者が、いずれ企業のデジタル変革を支える力になっていくのだろう。
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