21歳のころの自分に伝えたい、「嫉妬と恐怖」をコントロールする方法(1/2 ページ)
嫉妬や恐怖は「悪の心」につながる邪魔な感情だが、うまくマネジメントすれば大きな力にもなる。どうやったら制御できるのか。
この記事は、「『天才を殺す凡人』から考える 大企業でイノベーションが起きないメカニズム」の著者、北野唯我氏のブログ『週報』より転載、編集しています。
あなたにとって「21歳の自分に伝えたかったこと」は、なんだろうか?
最近聞いた話だが、心に響く文章には法則があるらしい。それは「特定の人」に向けて書かれた文章だ。ここまではよく聞く話だが、この「特定の人」には2つのパターンがある。1つはその名の通り「特定の誰か」。もう1つが、「過去の自分」だ。
そうだとしたら、文章というものは面白い。なぜなら、誰にとっても「過去の自分」は存在するのだから、誰でも心に響く文章を書けるだけの「素養」があるということになる。
では、自分にとって、21歳の自分に伝えたいことは何か。それは間違いなく「嫉妬と恐怖」をコントロールする方法だ。
人が生きていく上で、嫉妬や恐怖という気持ちは、基本的には邪魔者だ。一方で、その負のエネルギーをうまくコントロールすれば、大きな力にもなる。つまり「どうやって負のエネルギーをうまくコントロールするか」が大切なのだ。
「嫉妬と恐怖」が組み合わさった環境を、作ってはいけない
どんな人の心にも負のエネルギー、要するに「小さな悪」はある。心の健康状態に問題があると、悪の心が育ち、それがいずれ自分を飲み込むようになる。スター・ウォーズのダース・ベイダーをイメージすると分かりやすいだろう。そして、悪が一番育ちやすい土壌は「嫉妬と恐怖がそろったとき」に出来上がる。
30歳になり、これまでの人生を振り返ると、これまで何度もダース・ベイダーになる「機会」があったと思う。例えば「恐怖」。小さな話かもしれないが、地方出身の人間にとって東京という町は、そのものが怖い。あるいは、若い頃からドメスティックな家庭に育った人間にとって「海外で生活すること」はもっと怖かった。
加えて、キャリアにも「恐怖」は存在した。
21歳の頃は、当然のように、「1つの企業で働き、一生を終える」と思っていたが、現実は大きく違った。企業を飛び出し、何者でもない自分に向き合うことが何度もあった。自分の無力さに向き合う作業、それは「恐怖と向き合うこと」以外の何ものでもない。少なくとも、レールに乗ってきた人間にとっては。
それでも、人が恐怖を乗り越えられるのは、「確かなもの」を持っているからだ。ある人にとってそれは、勉強や部活で積み上げてきた実績かもしれない。あるいは、家族や恋人かもしれない。だが、自分にとっての確かなものは、他の人とは少し違った。
端的に言えば、それは「思考の歴史」だ。若い頃から、孤独と向き合い続けてきた「長考の歴史」だ。人生とは何か、生きるとは何か、それを問い続ける経験は、必ず確かなものにつながっている。21歳のあなたに伝えたい、1つ目のアドバイスは、こうだ。
「若い頃から孤独と向き合う長考の歴史は、あなたの中で確かなものになる」
だから信じて欲しい、と。
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