ガートナーのハイプサイクルに見る、技術トレンドの栄枯盛衰――VRはどこへ?:Mostly Harmless(1/2 ページ)
技術の成熟度や普及度などを分析したガートナーのハイプサイクルを眺めると、テクノロジーの栄枯盛衰が見えてきます。2018年のトレンドテクノロジーとその影にあるドラマとは?
この記事は大越章司氏のブログ「Mostly Harmless」より転載、編集しています。
毎年の夏のお楽しみ、Gartnerのハイプサイクルの2018年版が発表されました。
ハイプサイクルについては2017年にも書きましたが、こういうものは毎年の変化を見るのが面白いのです。
2018年のハイプサイクルを見て最初に思ったのは、「ディープラーニングは相変わらず強いなあ。あれ? VRは?」でした。
2018年の5大トレンドテクノロジー
2018年のハイプサイクルについて、トレンドから見ていきましょう。
2017年には、Gartnerが挙げたメガトレンドについて、以下のように書きました。
Gartnerは2017年版のハイプサイクルで、今後5〜10年で重要になる3つのメガトレンドとして「どこでもAIとなる世界(AI everyware)」「透過的なイマーシブエクスペリエンス(没入型の体験:Transparently Immersive Experiences)」「デジタルプラットフォーム(Digital Platform)」を挙げています。
これが、2018年は、「5つの先進テクノロジートレンド」として、「(1)AIの民主化」「(2)エコシステムのデジタル化」「(3)DIY(自己流)バイオハッキング」「(4)透過的なイマーシブスペース」「(5)ユビキタスなインフラストラクチャ」を挙げています。
1年でだいぶ変わったようにも思えますが、(1)はAIが今後も普及するだろうということで2017年の延長線上、(2)(4)(5)は2017年の「デジタルプラットフォーム(Digital Platform)」が細分化したもの(そもそもデジタルプラットフォーム自体、だいぶ広い概念でしたから)という感じでしょうか。
また、2017年はAR/VRを単独で扱っていましたが、これをやめて、医療やバイオ関連のいろいろな技術と一緒に(3)としてまとめたところが今回新しいといえます。これまでAR/VRはゲームやエンターテインメント向けの扱いになっていましたが、医療面での活用が見えてきたということで、まとめたのだと思われます。Gartnerは、(3)に該当するテクノロジーについて、以下のようにコメントしています。
このトレンドは、以下のテクノロジーによって実現されます:バイオチップ、バイオ技術(培養組織/人工生体組織)、ブレインコンピュータインタフェース、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、スマートファブリック
過去のハイプサイクルを調べると、2013年にはすでに「ブレーンコンピュータインタフェース」や「バイオチップ」が黎明期に現れています。点と点がやっとつながってきた、ということでしょうか。
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