お高いソフトウェア保守に“価格破壊”の波 「第三者保守サービス」が企業にもたらすインパクト:Weekly Memo(1/2 ページ)
エンタープライズソフトの第三者保守サービスをベンダーの半額で手掛ける米Rimini Streetが、日本で事業を順調に伸ばしている。この機に「ソフト保守サービス」について考察したい。
Rimini Streetがソフト保守サービスで仕掛けた“価格破壊”
「私たちが4年半前に日本でビジネスを始めた際、第三者ソフト保守サービスを日本市場で浸透させるのは難しいといわれた。しかし、その価値を着実に認知していただけるようになり、このところ事業は順調に拡大している」――。こう語るのは、エンタープライズソフトウェアの第三者保守サービスを手掛ける米Rimini Streetのセス・ラビンCEOだ。同社の日本法人である日本リミニストリートが9月13日に開いたメディア向け事業戦略説明会で語ったものである。
第三者保守サービスとは、製品メーカーではない第三者の業者が行う保守サービスのことをいう。IT分野ではハードウェアのこうした業者は多いが、エンタープライズソフトは、例えばOracleやSAPといったメーカーが保守サービスも手掛けている。そこに“価格破壊”をもって参入したのがRimini Streetである。
本コラム連載では、ラビン氏が冒頭のコメントで述べた4年半前の同社の日本市場参入にあたっての動きを、2014年3月10日掲載の「ソフトウェア保守サービスは“民主化”に向かうか」で取り上げた。サービスの基本的な内容は当時から変わっていないが、今回の会見での最新情報も踏まえて同社の事業の要点をピックアップしておこう。
Rimini Streetは米ネバダ州ラスベガスで2005年に創業した第三者ソフト保守サービス業者の草分けで、2017年10月にはこの業種で初めて株式公開も果たした。現在、サービスの対象としているのは、OracleやSAPのERPソフトを中心として図1に示す製品だ。OracleやSAPなどとは競合関係にあるが、2018年5月にパートナーシップを結んだSalesforce.comとは補完的な関係を築いている。
最大の特徴は、ユーザー企業がエンタープライズソフトベンダーに支払っている年間の保守料金を半額に設定していることだ。さらにラビン氏は、「ベンダーが提供するソフトを10年以上使い続けると、年間保守料金のほかにアップグレードやカスタマイズの保守、そして保守要員の費用がかさんでくる。これに対し、当社のサービスを同じ期間利用していただければ、全体で最大90%の費用削減を図ることができる」と強調した。
現在、世界16カ国でビジネスを展開しており、顧客数は1620社超。そこには、Fortune500のうち100社超が含まれており、日本でも150社を超えたという。この実績が、ラビン氏の冒頭のコメントにつながっている。
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- IBM Cloudが“コスト削減とイノベーションの準備を両立できる”理由
日本IBMが2018年のクラウド事業戦略を明らかにした。筆者が注目したのは、これまでにも増して「既存システムのクラウド化」を強調したことだ。その狙いはどこにあるのか。 - AIを駆使したMicrosoftのインサイドセールス、その効果は
7月にクラウドシフトへかじを切った日本マイクロソフトに新設されたインサイドセールス事業本部が、AIをはじめとする最新技術を活用したデジタルセリングを行い、自らMicrosoft製品を駆使したデジタルトランスフォーメーション(DX)を実践している。その狙いとは。 - 経営危機を“データ改革”で乗り越えた、2つの会社の話
データガバナンスやMDMを見直すポイントを紹介する本連載。今回は、成果が比較的早期に表れやすいとされている「サプライヤーデータ管理」の事例を2つご紹介します。 - ソフトウェア保守サービスは“民主化”に向かうか
グローバル市場でERPなどのソフトウェア保守サービスをベンダーの半額で手掛ける米国企業がこのほど、日本市場に本格参入した。この分野の“民主化”を進めたい考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.