“マルチAI”にどう対応するか システム管理の新たな課題:Weekly Memo(1/2 ページ)
競争力強化に向けたAIの導入・活用が進む中、業務部門ごとに複数のAIが使われるケースも見受けられるようになってきた。そんな“マルチAI”をどう管理していくのかが、新たな課題として浮上している。
企業全体で戦略的かつ効率的なAI活用を推進
「企業のAI(人工知能)活用では、IBM Watsonだけでなく、複数のAIが業務部門ごとに使われ始めている。そんな“マルチAI”をどう管理していくのかが、新たな課題として浮上してきた」――。日本IBMの山口明夫 取締役専務執行役員グローバル・ビジネス・サービス事業本部長は、同社が先頃開いた新サービス・ツール群の発表会見でこう指摘した。
これまでにもさまざまなITツールで起きている現象だが、AIは業務に密接した活用が不可欠なだけに、起きるべくして起きているといっていい。ならば、山口氏が言うように、マルチAIをどう管理していけばよいのか。
日本IBMの今回の発表は、そのニーズに応えたものである。企業全体で戦略的かつ効率的なAI活用を推進するための包括的なサービス・ツール群である「IBM Services AI Enterprise Knowledge Foundation」は、AI活用の戦略策定から、導入支援、AI人材の育成までの一連のサイクルをサポートするサービス群と、データやアルゴリズムなどのAI資産を公平に、透明性を保ちながら管理して可視化するツール群で構成される。
ツール群の中でもとりわけ注目されるのが、AIによる意思決定のバイアス(偏り)を検出・軽減するソフトウェアサービス「Trust and Transparency capabilities」である。このツールは、AIの統合開発・分析環境である「Watson Studio」や、データの統合管理環境である「Knowledge Catalog」といったWatson製品を併せて活用することで、IBM製品だけでなく、オープンソースソフトウェア(OSS)も含めたAIシステム資産を管理し、高度な専門性がなくても容易に利用できるとしている。
ちなみに、米IBMの発表資料によれば、Trust and Transparency capabilitiesは「Tensorflow」「SparkML」「AWS SageMaker」「AzurML」など、多種多様な機械学習フレームワークとAI構築環境で構築されたモデルにも対応し、「企業が使用する一般的なAIフレームワークの大半に対して管理が行える」としている。これがすなわち、「マルチAIの管理」のポイントとなるところである。
このツールを含めたIBM Services AI Enterprise Knowledge Foundationの詳細な内容については発表資料をご覧いただくとして、ここからはマルチAIへの対応をめぐるIBMの基本的な考え方に注目してみたい。
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