米司法省は10月19日、米国の選挙に介入しようとするロシアの陰謀に関わったとして、ロシア国籍の女を訴追したと発表した。「敵国は、社会的・政治的分断を引き起こすことで、われわれの民主主義に対する干渉を続けている」と強調している。
発表によると、訴追されたのはロシアのサンクトペテルブルク在住の44歳の女で、外国の選挙への介入などを目的としたロシアの組織「Project Lakhta」の最高財務責任者だったとされる。
同組織はソーシャルメディアへの投稿や広告などを通じて「米国に対する情報戦争」を展開し、立候補者や米国の政治制度に対する不信感をあおっているという。
情報がロシアから発信されていることは隠した上で、米国の普通の政治活動に見せかけて、何千ものソーシャルメディアや電子メールアカウントを作成。米国で大きな注目を集めた事件や論争に便乗して、社会や政治の分断をあおるようなコンテンツを作成していたとされる。
2016年から2018年の選挙では、特定の候補者を落選させる目的でもそうしたアカウントが利用されたとしている。今回の捜査には、FacebookやTwitterなども協力したという。
米国や欧州では、FacebookやTwitterなどのSNSが外国からの選挙介入や世論操作に悪用された疑惑が相次いで浮上し、各国がロシアに対する非難を強めている。
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