デジタル変革時代のインフラ設計は“これまでの常識が通用しない” ガートナーが説く「クラウド時代のインフラ投資」:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業は今後のクラウド戦略をどう描けばよいか。ガートナーの名物アナリスト、亦賀氏はデジタル変革に向けたインフラづくりを急ぐべきだと強調する。どういうことか。
ビジネスの競争力に直結する「M2」クラウドに注力を
「デジタル変革に向けたインフラづくりを急げ」――。ガートナー ジャパンの亦賀(またが)忠明ガートナーリサーチ バイスプレジデント兼最上級アナリストは、同社が2018年11月12〜14日に都内ホテルで開催した「Gartner Symposium/ITxpo 2018」の「企業のクラウド戦略」をテーマにした講演でこう強調した。
このメッセージは何を意図しているのか。今回は亦賀氏の講演から、このメッセージにまつわる話について考察してみたい。
まず、前提としてクラウドには2つのモードがある。従来の業務システムに代表される「モード1」(M1)と、デジタル変革に向けた「モード2」(M2)である。それぞれの内容や捉え方については、図1をご覧いただきたい。ちなみに、図の左側に「松」「竹」「梅」とあるのは、松が99.999%、竹が99.99%、梅が99.9%を表すサービスレベル契約(SLA)の水準である。
その前提をもとに亦賀氏は、「ガートナーはこれまで、クラウドをバイモーダルで捉えよ、とお話ししてきたが、米国では今やM2の議論一辺倒になってきている。その理由は、M2の取り組みがビジネスの競争力に直結するからだ」と語った。
そうしたM1とM2の取り組みの違いを示したのが、図2である。M1に重点を置いている企業を「維持タイプ」、M2に重点を置いている企業を「成長タイプ」と捉え、現状ではいずれの領域にもクラウドサービスを提供しているAmazon Web Services(AWS)やMicrosoftなどのメガプレーヤーも、今後は一層ビジネスの拡大が見込まれる成長タイプとの取引を重視するようになると、亦賀氏は見ている。
ちなみに、図2で、それぞれのタイプを象徴するキーワードとなるのは、成長タイプが「デジタルファースト」、維持タイプが「既存システムのクラウド化」だ。また、今後に向けて、成長タイプは「新たなF1(スピード)競争」、維持タイプは「10年以内に存続リスクの可能性」があるというのが、同氏の見方である。
そのうえで、「この変化は、日本のITやビジネスを根本から変えるものだ。日本企業、特にIT部門は早急にキャッチアップする必要がある」と訴えた。
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