野良ロボットを防ぎ、安全にRPAを使うための「4つのルール」:RPAで始める業務自動化のススメ(8)(3/3 ページ)
どうやってロボットを作るか、という「開発」に目が向きがちなRPAですが、それと同等、あるいはそれ以上に重要なのは、どうやって安全に「運用」するかという視点です。今回はRPAを安全に使うためのルールを犬に例えて(!)考えます。
ルール3:登録、検査が完了したロボットには証書が発行され、組み込まれる
ロボットの登録や検査が完了したら、それを証明するための証書を発行し、いつでも確認できるようにロボット内に組み込むとよいでしょう。
犬のように物理的なモノを装着できるわけではないので、電子ファイルやテキストを作り、ロボットと同じ場所に保管(記録)してもらうのが簡単な方法です。証書の発行者がロボットを預かって、組み込む形でもよいと思います。
証書は単なるテキスト(平文)でもいいですが、電子署名や暗号キーなど、改ざんを防止する仕組みを実装しておくと、なお確実です。
ルール4:証書が埋め込まれていないロボットを調査し、保護(利用を保留)する
一見、面倒に見える証書の発行ですが、その最も重要な用途が「調査と保護」です。
犬の場合、保護した徘徊犬に鑑札があれば、それが野良犬ではなく、登録された飼い犬であることがすぐに分かるでしょう。また、注射済票により、いつまで予防注射を受けていたのかも分かります。そして、それがなければ「野良犬」として判別が可能です。ロボットも同様に、証書がないものは野良ロボットと判別できます。
調査の方法はさまざまですが、ロボットの動作時に出力されるログで判別できるようにしたり、ロボットそのものを確認して、証書があるかどうかを調査したりする方法が考えられます。野良犬の保護が積極的に行われているのと同様、この調査も、比較的短い間隔で実施するのが望ましいです。自動化して、リアルタイムに検知できるようにできれば運用の負荷も抑えられます。
いかがでしょうか。もちろん、今回紹介したルールはあくまで一例ですが、こうしたルールを設けることで、業務がロボットによって適切に行われていることの説明責任を果たせると考えます。
ただし、ルールを作っただけで終わりではありません。国によって法律が施行されても、行政機関が機能しなければ無法地帯になるのと同様、会社内にルールを執行する権限を持った担当者や組織が必要です。
RPAは「ロボットをどう作るか」に興味が向きがちですが、作った後にどう安全に運用するかが、非常に重要なことがお分かりいただけたのではないかと思います。今回は具体的な方法に触れてはいませんが、RPAソフトウェア自体にそのような管理機能が入っている場合もあります。有効に活用するといいでしょう。
ソフトウェアロボットを「犬」に置き換えて得られる示唆は、実は狂犬病以外にもあるのですが、それはまた別の機会にお話ししたいと思います。
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