野良ロボットを防ぎ、安全にRPAを使うための「4つのルール」:RPAで始める業務自動化のススメ(8)(2/3 ページ)
どうやってロボットを作るか、という「開発」に目が向きがちなRPAですが、それと同等、あるいはそれ以上に重要なのは、どうやって安全に「運用」するかという視点です。今回はRPAを安全に使うためのルールを犬に例えて(!)考えます。
ルール1:業務に使用するロボットは、登録を義務付ける
まずは開発したロボットが、どの部署で使われ、どのような業務を自動化し、誰が管理者(所有者)なのか――。こういった情報を登録することを義務付ける必要があります。
登録された情報は、適切な範囲で公開し、共有するのがお勧めです。そうすることで、「適切な管理の下でロボットを利用していること」を関係者が把握でき、野良ロボットではないことが証明できます。
ルール2:業務や利用システムに悪影響を及ぼさないか、定期的に検査(是正)を行う
前回の記事でもお話ししたように、管理が行き届いていない野良ロボットは、誤作動を起こして、業務に支障が出てしまう可能性があります。これを防ぐためにロボットの挙動を検査するのです。これはソフトウェア開発で言うところのQA(Quality Assurance:品質保証)に当たる話ですが、ロボットの“品質”とは何なのか、パッとイメージできない人もいるかもしれません。
ソフトウェアの世界での品質と同様「期待した動作を忠実に実行できるか」も重視するポイントですが、RPAではより安全性を確認すべきでしょう。動かないことよりも、周りの業務に悪影響を及ぼすことが、最も避けるべきリスクであるためです。
例を挙げるなら「何か誤ったデータを与えられても暴走しない」とか、「操作対象のシステムに、過大な負荷をかけるような処理を入れていない」「何らかの処理に失敗したらアラートが飛ぶ」など。「ロボットが高速で効率的に動くか」といった性能面の話は、後回しでもいいくらいです。
プログラム開発の経験がない人には、難しく見えるかもしれません。そういうときは、あなたが担当する業務を思い出してみてください。間違えないように、作業の要所要所で確認を行うなど、品質を高める努力をしているのではないでしょうか。そのような工夫がロボットにも反映できれば、一定の品質は担保されると思います。何があったらその業務に問題が起きるのか、最も理解しているのは担当者自身なのです。
そして、それを“定期的に”検査することにも大きな意味があります。外部環境の変化によって、ロボットが検査の基準を満たさなくなっている可能性もありますし、そのロボットが今でも現役で使われているのか、管理者は変わっていないか、といった登録状況の棚卸しも同時に行えるのです。
関連記事
- Excelマクロで年間35万時間を削減、それでも三井住友海上がRPAを導入した理由
金融関連業界を中心に導入が広がりつつあるRPA。アクセンチュアと協力してRPAを導入した三井住友海上もそんな企業の1つ。しかし、同社はもともとExcelマクロを使った業務自動化を進めていた。彼らがExcelマクロに加えてRPAを導入した理由はどこにあるのか? - あなたの会社の人手不足を救うロボットーー「RPA」って何ですか?
「こんな雑用やってられるか!」――職場でこう言いたくなった経験がある人は多いのでは。最近ではこうした仕事を“ロボット”にやらせる「RPA」がトレンドになりつつあるという。業務改革を推進する企業にとって“現実解”ともいえる存在になりそうだ。 - ロボットにも履歴書や出勤管理システムを 住友林業流、RPAロボ管理術
情シス主導のRPA導入に成功し、成果も着々と上がっているところで突然、ロボットの開発を中断した住友林業の成田さん。なぜ、このタイミングでブレーキをかけたのか。 - WatsonとBPMの組み合わせで差別化する――IBM、RPA製品発売の狙い
日本IBMが、BPM+RPAの自動化ソリューション「IBM RPA with Automation Anywhere」を10月20日から発売する。 - 「RPAはツールではない、相棒だ」 ソフトバンクがRPAに参入
ソフトバンクとRPAホールディングスが、RPA事業の新ソリューション「SynchRoid」を発表、11月1日から提供を開始する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.