地方銀行の“生き残りを賭けた戦い”が始まった 地銀のデジタル基盤を目指す伊予銀行とアクセンチュアの“共創”:Weekly Memo(1/2 ページ)
愛媛県を地盤とする伊予銀行がアクセンチュアの協力を得てデジタル変革に取り組んでいる。将来的には“地方銀行のデジタル基盤”を確立して広げていきたい考えだ。
伊予銀行がアクセンチュアの「DHDバンク」を採用
「10年先も必要とされる銀行でありたい」――。こう語るのは、愛媛県を地盤とする伊予銀行の竹内哲夫 常務取締役CIOだ。11月22日にアクセンチュアと共同で開いたデジタル変革プロジェクトに関する記者説明会でのひとコマである。
竹内氏によると、地方銀行は昨今、人口減少による資金需要の減少など、経営環境が厳しさを増す中、生産性向上が急務となっている。一方で、地銀として店舗網の維持も求められており、「生産性向上」と「地域への責任・地域密着の強み」を両立させていく必要があるという。
また、急速に進むデジタル化や異業種からの参入に対し、地銀としては地域に密着しながらデータを駆使して、顧客に対する高い提案力が求められている。
そうした中、伊予銀行では2015年度から事業構造改革に取り組み、2017年度からはデジタル変革にも乗り出した。竹内氏の冒頭の発言は、こうした改革に向けた同行の理念を語ったものである。
その中で、今回アクセンチュアと共同会見を行ったのは、デジタル変革プロジェクトの推進に向けて両社間で新たに今後3年間の契約を結ぶとともに、アクセンチュアが提供する「DHD(デジタル・ヒューマン・デジタル)バンク」というコンセプトに基づく新ソリューションを本格的に適用していくことを発表するためだ。
DHDバンクとは、「デジタルが得意なところはデジタルが、人にしかできないところは人が行い、デジタルによる利便性向上と、地域密着ならではの行員の提案力強化といった付加価値向上を実現していく」という考え方である。
図1が、DHDバンクにおける顧客へのアプローチのプロセスを記したものである。デジタルによる顧客接点のタッチポイントを起点とし、人によるコンサルティングを有効に行い、オペレーションには再びデジタルの利点を活用するといったサイクルを描いている。アクセンチュアによると、とくに起点では「まず銀行に相談してみようと思ってもらえるようなタッチポイントを用意することが重要」という。
そして、同社はこのDHDバンクを実現する基盤として、チャットとAI(人工知能)を活用したプラットフォーム「Chat Co-Robot」を開発した。これが、伊予銀行が本格的に適用した新ソリューションである。
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