「近くて便利」から「私に便利」へ――AI、IoTを駆使して挑む、セブン-イレブンのデジタル変革:Weekly Memo(1/2 ページ)
セブン-イレブンがコンビニの進化に向けて新たなチャレンジを行っている。そのキーワードは、「近くて便利」から「私に便利」へ――。いったい、どういうことか。
セブン-イレブンとNECが「省人型店舗」を開設
「セブン-イレブンは2009年から“近くて便利”というコンセプトを掲げてきた。これからも一層、お客さまと従業員にやさしい店づくりを行っていく」――。セブン-イレブン・ジャパンの古谷一樹 代表取締役社長は、同社とNECが12月17日に開いたコンビニエンスストアの新型店舗の発表会見でこう強調した。
新型店舗は、マイクロマーケット(小規模商圏)への本格的な展開を目的に、NECのAI(人工知能)やIoT(Internet of Things)技術を活用した「省人型店舗」で、同日、その実証実験となる「セブン-イレブン三田国際ビル20F店」(東京都港区)をオープンした。さらにこの取り組みを、オフィスビルに加えて病院や工場などのマイクロマーケットに対して広げていく構えだ。
今回オープンした店舗では、NECとして国内初導入となる「顔認証による決済」をはじめ、「ターゲット広告サイネージ」など、来店客の快適・便利を支えるシステムに加え、冷蔵庫などの設置情報を24時間自動収集し、安定稼働をサポートする「設備の稼働管理」や「AIを活用した発注提案」など、従業員を支えるシステムを活用することで、省人化を図っていくとしている。(図1)
それらの内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは古谷氏とNECの江村克己 取締役執行役員常務兼最高技術責任者(CTO)が会見で語った、この取り組みにおける基本的な考え方を記しておこう。
古谷氏は、冒頭に挙げたコメントでも触れた「近くて便利」について、「近さとは“距離の近さ”だけでなく、必要なときに必要なものを買える“心理的な距離の近さ”」であり、「便利とは、商品がそろっていることに加え、上質な商品を上質な接客とサービスで提供し、常に“頼りにされる”店」を指すとした。
また、江村氏は、今回の取り組みについてカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の観点から、「欲しいときに欲しいものが簡単に手に入り、便利で心地よい購買体験を享受していただくことが重要だ」とし、図2に示すように「よりスマートな購入」「欲しい商品がある」「的確なレコメンド」「安全・安心な食の提供」といった4つのポイントを挙げた。
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