中小企業のデジタル変革に向けて複写機が“大変身”――リコーの新戦略とは:Weekly Memo(1/2 ページ)
中小企業のデジタル変革は、“複写機の進化形”から始まる――。リコーがそんなコンセプトの新製品を発表した。複写機を軸にしたデジタル変革とはどのようなものなのか。その背景にある同社の思惑とは――。
中小企業の生産性革新に貢献するソリューションを発表
「これまで“複写機のリコー”といわれてきたが、これからは“ワークプレイスサービスのリコー”といわれるようになりたい」――。リコーの山下良則社長は、同社が先頃開いた新製品の発表会見でこう強調した。
新製品とは、「業務プロセスをデジタル化し、中小企業の生産性革新に貢献する」と銘打った「RICOH Intelligent WorkCore」と呼ぶソリューションである。その中身は、新たに発売する複合機「RICOH IM Cシリーズ」の7機種16モデルと、クラウドプラットフォーム「RICOH Smart Integration(RSI)」を介して提供する各種クラウドサービスを組み合わせたものだ。(図1)
RICOH IM Cシリーズは、複合機本体の導入後も基本性能を最新の状態にアップデートできる「RICOH Always Current Technology」を初めて実装。これにより、さまざまな業種の業務に対応した最新クラウドサービスとの連携によるワークフロー改善や、最先端のセキュリティ機能への対応を実現し、顧客企業が取り組む働き方改革を支援するとしている。
新ソリューションでは、RSIアプリケーションとして提供するAI(人工知能)を活用したOCR(光学的文字認識)機能により、複合機が紙ドキュメントの情報をデジタルデータ化するための“ゲートウェイ”となり、クラウドサービスとシームレスに連携した効率的なワークフローを実現できる。これにより、中小企業を中心に残っている紙ドキュメントによる業務プロセスをデジタル化して変革することで、企業規模を問わずオフィス業務の生産性向上に貢献するという。
新ソリューションの詳しい内容については発表資料をご覧いただくとして、ここからはその背景にある同社の思惑を探ってみたい。
冒頭の発言で、複写機メーカーからワークプレイス(働く場)に関するサービスを提供するプロバイダーへの転身を宣言したリコーの山下氏は、今回の動きの背景として、ユーザー企業が抱える課題が3つあると話した。図2に示すように、「紙と電子データとの壁」「業務と業務との壁」「企業と企業との壁」である。
そのうえで同氏は、その3つの壁に対処するとともに、利用が広がるクラウドサービスを柔軟かつ容易に取り込めるようにしたいと考えたのが、新ソリューションの発想につながったと説明した。
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