検索
インタビュー

「セキュリティ意識が高すぎ」とネットで話題――3要素認証の「ATM型貯金箱」はなぜ生まれた? ちゃお編集部に聞く週末エンプラこぼれ話(2/4 ページ)

1977年に創刊した、小学館の女児向け雑誌「ちゃお」。2018年12月に発売された「ちゃお2月号」にネット上がざわついたのをご存じだろうか。その理由は、ふろくの「ATM型貯金箱」。3要素認証を備えた“超強固”な貯金箱は、どのようにして生まれたのだろうか。

Share
Tweet
LINE
Hatena

関さん: このATM型貯金箱のふろくは、実は今回が2回目なんです。2016年1月号に出したときは、カードと暗証番号を使ったギミックで大変大きな反響を頂きました。それからブラッシュアップを行い、今回は「指認証」が加わって3種類のギミックになったので、「トリプルセキュリティ」をうたおう、ということになりました。

筒井さん: カギ付きの手帳が人気だったり、交換日記だったりと、女の子は“ひみつ”を守ることが好きな一面があります。だからこそ、セキュリティがしっかりしているというのはアピールポイントになるんですよ。

 暗証番号が何種類あるかは公表していませんが、部品の型が関係してくるので、コストとの兼ね合いもあり、そんなに多くはありません。本当はもっと多くのバリエーションを作りたかったんですよね。ちゃおの発行部数は数十万単位です。同じ雑誌を買った友達の貯金箱が開けられる、というのは問題ですし。

photo 貯金箱の底面に暗証番号が書かれている

読者ニーズとリアリティーを追求した結果、強固なセキュリティに

――セキュリティの世界では、認証の3要素として「生体情報(SYA:Something You Are)」「知識情報(SYK:Something You Know)」「所持情報(SYH:Something You Have)」が挙げられており、それを2つ以上取り入れることで「多要素認証」と呼ばれます。

筒井さん: ……。

――今回の「トリプルセキュリティ」は、まさに生物固有の情報である生体情報、本人しか知らない暗証番号という知識情報、そして、本人しか持っていないカードという所持情報が実装されており、その点ではかなり本格的に見えます。これはどのようにして実装に至ったのでしょうか?

筒井さん: ……多要素認証ですか? それは初めて聞きました。

photo ATM型貯金箱は、カードを挿し、指認証ボタンにタッチ、そして4桁の暗証番号を押さないと、中身にはアクセスできない

――ええっ? 誰かセキュリティに詳しい人が編集部にいるのだと思っていました……。

筒井さん: 多要素認証のルールは今初めて知りましたが、ちゃおのATM型貯金箱がそのような考えに沿ったモノになったのは、あくまで偶然ですね。指認証も「指紋認証」とは表現していませんし(笑)。

 先ほどお話ししたように、元になったのは3年前のふろくで、そこから何か進化させようというところから始まっています。コインを入れると、大きさから種類を判別して、貯金箱内の総額を表示するようなハイテクなものもありますが、さすがにコストの関係で無理でした。でも指認証ならいけるかもしれない。街中にあるATMを参考にし、本物の仕組みを取り入れ、リアリティーを追求したらこうなった……というのが正解ですね。

関さん: ちゃおのふろくは「夢のあるもの」というのを第一に考えています。大人にとっては身近なATMですが、ちゃおの読者層である子どもたちは、ATMに触ることはありません。大人がやっていることをマネしたい年頃なので、これが付録として触れるようになったらうれしいだろうなあ、というのを形にしたのが、今回のATM型貯金箱なんです。

――実際、読者の声はいかがでしたか?

関さん: アンケートの声が徐々に届き始めていて、高い評価だったと感じています。本誌にはオードリーの春日さんがガイドする、このATM型貯金箱を使ってもらうための記事も掲載していて、その反響も大きかったです。

筒井さん: もともと、ちゃおではさまざまなアクセサリーや小物をプレゼントする懸賞コーナーがあります。そこでもやはり、貯金箱は人気なんです。そこから付録の企画案がスタートし、2015年に実現したという経緯があります。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る