「不動産テック」成功のカギは積極的な協業関係、建設業・金融業などが主導か――NTTデータ経営研究所調べ(2/2 ページ)
NTTデータ経営研究所の調査によると、「不動産テック(PropTech/ReTech)」は、FinTechなどと比べると認知度が低いものの、「知っている」と回答した人の所属企業の3社に1社に当たる35.8%が不動産テックに取り組んでおり、不動産業よりも他業種の方が積極的であることが分かった。
有望な不動産テックのサービスはAI/IoT活用の“データの収集・分析・共有”
実際の不動産テックの取り組みに導入されている主なテクノロジーは、多い順に「AI(機械学習、ディープラーニング含む)」が52.5%、「Web化・オンライン化」が49.5%、「ビッグデータ(DMP:Data Management Platform含む)」が48.5%、「IoT」が31.3%となった(図1の上段右図、詳細は図4)。
また、不動産テックのサービス別認知度と今後の有望度について、「知っている不動産テックのサービス」と「今後有望だと考える不動産テックのサービス」を尋ねた質問では、両方の第1位が「不動産価格データ収集・分析:不動産の成約価格、物件情報などのデータを収集・分析・共有することで資産価値評価や売買予測等を行うサービス群」となった。この結果から、現在も今後も不動産テックのサービスの中心となるのは“データの収集・分析・共有”に関するものだと分析している。
不動産テックの成功のカギは、有望企業への出資や買収など、一歩踏み込んだ取り組みと積極的な協業関係
不動産テックの成果については、「期待以上の成果が得られている」の13.1%、「期待通りの成果が得られている」の38.4%の合計が51.5%と、約半数が成果を得られていると回答。一方で、「一定の成果は得られているが、期待していた程ではない」が30.3%、「期待していた成果は得られていない」が7.1%と、計4割近くが成果を得られていないことが分かった(図1の下段右図、詳細は図7)。
NTTデータ経営研究所では、成功や失敗の原因としてはさまざまなことが想定されるため、同調査の目的からは外しているが、“不動産”דテック”という言葉が表す通り、異業種間での提携・協業・交流が重要なファクターであることは間違いないとしている。
併せて、不動産テックの成果と、不動産テックの実現に向けたアライアンスや買収などのアクションの相関についても調査したところ、結果としては、有望企業への出資や買収と成果に相関を確認できたという。
具体的には、成果の質問で「期待以上の成果が得られている」「期待通りの成果が得られている」と回答した、いわゆる“成果が得られている”とする割合は、「有望企業へ出資または買収し、出資先の有望企業と積極的に協業・交流した」が89.5%、「有望企業へ出資または買収したが、カネだけ出して出資先の有望企業には介入しなかった」が63.6%、「有望企業と提携し、提携先の有望企業と積極的に協業・交流した」が47.8%だった。
特に、「有望企業へ出資または買収し、出資先の有望企業と積極的に協業・交流した」は、「期待以上の成果が得られている」とした企業の57.9%と、他が4%程度であることと比べて、突出している。
NTTデータ経営研究所では、この結果に見るように、不動産テックで成果を上げるためには、オープンイノベーションの実施や提携などよりも、有望企業への出資や買収など、一歩踏み込んだ取り組みが重要だという。さらに、出資や買収にとどまらず、その出資先企業との積極的な協業関係が期待以上の成果を上げるためにも重要であることが明らかになったとしている。
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