デジタル改革時代に“選んではいけない”SIer:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業にとってSIerは業務システムの構築・運用のみならず、デジタル変革の推進においてもパートナーになり得るのか――。NTTデータの話を基に考察してみたい。
SI業界にとってデジタル変革は何を意味するのか
「NTTデータはもはや古くさいシステムインテグレーター(SIer)。デジタルトランスフォーメーション(DX)推進のパートナーにはなり得ない、とお客さまに思われないように、しっかりと取り組んでいきたい」――。NTTデータの冨安寛 技術革新統括本部システム技術本部長は、同社が先頃開いたDX事業についての記者説明会でこう切り出した。
確かに、SIerといえば業務システムの構築・運用を担うイメージが強く、最新のデジタル技術を自在に操る印象は乏しい。SIerの代表格であるNTTデータはまさにそのイメージがつきまとうが、冨安氏によると「私たちもDXに対して、ただ手をこまねいているわけにはいかない。ここに来て本腰を入れ始めている」という。
今回はそうしたNTTデータの話を基に、ユーザー企業の視点で、SIerをDX推進のパートナーに選ぶ際のコツについて考察してみたい。
まずは、NTTデータの独自調査によるITサービス市場の予測を図1に示した。これによると、SIやパッケージ(PKG)などのトラディショナルと、クラウドやモバイルアプリなどのデジタルにおける構成比率は、2014年で9対1だったのが、2025年には4対6に逆転するとしている。
では、国内のSI業界にとってDXの進展は何を意味するのか。冨安氏は、SI業界ではかねて、IT人材の不足、オフショアの単価高騰、グローバル規模のクラウドサービスの利用加速などへの対処に迫られていたところにDXの進展が重なり、「従来の人月による受託ビジネスでない新しいモデルが必要になってきている」と指摘した。
また、宿泊予約サイトをサンプルとして、システムを自前で構築した場合とデジタル技術を活用して構築した場合のコストを比べたところ、デジタル技術の活用が4分の1で済むことが判明。こうしたことから、冨安氏は「SIerは従来の開発スタイルとともに、工数や物販、ライセンス費の増大などによる収益構造を変えていかなければいけない。ひいては、象徴的なSIerであるNTTデータ自身が変わっていかなければいけない」と力を込めた。
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