国内企業の“DX成熟度”は足踏み状態 新たな価値創出をリードするDX人材の獲得が急務――IDC調査
IDC Japanの調査によると、国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みは、限定的なものが多く、“DX成熟度”は足踏み状態にあると指摘。脱却するには、組織の壁を超えた横断的かつ持続的な変革を推進できるDX人材の獲得と、DX人材が活躍できる環境の整備が必要だという。
IDC Japanは2018年3月6日、国内ユーザー企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に対する取り組み状況を調査し、成熟度を分析した結果を発表した。国内企業の約4割は、5段階中3番目のステージ(標準基盤化:DXに向けた取り組みは企業戦略と連携しているが短期的)の成熟度にあることが分かったという。
IDC Japanでは、DXを「企業が第3のプラットフォーム技術を利用して、新たな製品やサービス、ビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義。今回の調査は、このようなデジタル技術活用による企業のビジネス変革の可能性について、「リーダーシップ変革」「オムニエクスペリエンス変革」「ワークソース変革」「運用モデル変革」「情報変革」の5つの側面から実施した。
調査では、従業員1000人以上の大規模企業に所属する部長クラス以上、あるいは予算・企画などの意思決定者である係長クラス以上の548人に対してWebアンケート調査を実施し、国内ITユーザー企業のDXに対する取り組みの成熟度を分析。
成熟度の評価は、IT環境の導入状況を客観的に評価するIDC独自の評価手法に基づき、特定のIT環境について全く導入していない場合をステージ0(未導入)とし、導入後のユーザー企業の成熟度を、「ステージ1(個人依存)」「ステージ2(限定的導入)」「ステージ3(標準基盤化)」「ステージ4(定量的管理)」「ステージ5(継続的革新)」までの5段階で評価した。
その結果、国内企業のDXの成熟度は、ステージ1が3.6%、ステージ2が17.9%、ステージ3が42.6%、ステージ4が30.3%、ステージ5が5.6%であることが判明。評価尺度別の分析でも、5つの側面の全てでステージ3の企業が最も多い結果となった。
IDC Japanでは、DXに取り組む企業は多いものの、その取り組みは短期的で、従来のビジネスの効率化が中心になっていると分析。また、2017年の調査結果と比べて成熟度に大きな進展は見られず、革新的な製品やサービスを連続的に創出し、市場に変革をもたらすレベルの企業は限られていると指摘する。
同社 ITサービスグループ リサーチマネージャーの木村聡宏氏は「国内のDX成熟度は足踏み状態にある。こうした状態を脱却できるか否かは、DX人材にかかっている。国内企業は、組織の壁を超えた横断的かつ持続的な変革を推進できるDX人材の発掘や育成、確保を進め、DX人材が活躍できる環境を整備すべきである」とコメントしている。
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