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AIとIoTで養殖マダイの稚魚の“吸い上げ量”を最適化 選別作業の効率化へ――近畿大学ら、実運用を開始
近畿大学水産研究所、豊田通商、日本マイクロソフトは、養殖マダイの稚魚を自動選別するシステムの開発に取り組んでいる。第1段として、いけすから海水とともに稚魚を吸い上げ、選別作業に送り出す量を最適化するため、AIがポンプの水流量調節を自動化するシステムを開発、実運用を開始した。
近畿大学水産研究所(和歌山県白浜町)は、養殖マダイの稚魚を海水とともにいけすから吸い上げるポンプの水流量調節をAI、IoTを活用して自動化し、均一的な量の稚魚を選別作業に供給するシステムを開発し、2018年12月から実運用を開始した。同システムは、豊田通商、日本マイクロソフトと共同で開発。稚魚出荷作業の効率化を図るとともに、人材確保が課題となっている漁業の“働き方改革”に貢献するという。
養殖技術の研究開発を手掛ける近畿大学水産研究所では、近畿大学水産養殖種苗センター(白浜町)でマダイの稚魚を生産し、大学発ベンチャーのアーマリン近大を通じて全国の養殖業者に販売しており、日本の年間生産量の24%に当たる約1200万尾を取り扱っている。
養殖マダイの稚魚生産では、年明けと秋の年2回、稚魚が約8〜10センチ程度に成長した時点で全国の養殖事業者に出荷。出荷前には、生育不良などの個体を取り除き、十分に出荷基準を満たす稚魚だけをより分ける。魚の品質の要となる出荷前の選別作業は、出荷最盛期には日に最大25万尾に及び、作業員の負荷を軽減しながら効率化を進めるため、選別作業全体を自動化していく必要があった。
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