エンジニア不足は社内で解決できる 驚きのジョブチェン、営業メンバーをSalesforceの開発者にしたビズリーチの挑戦(1/4 ページ)
Salesforceを導入した企業の多くが悩んでいるのが、アプリの開発者不足。この課題を解決すべくビズリーチが取り組んだのは、営業メンバーをエンジニアにスカウトすることだった……。
深刻化するSalesforceアプリのエンジニア不足
現在、多くの企業で利用されているクラウド型CRM/SFAアプリケーションの「Salesforce.com」(以下、Salesforce)。着実に効果を上げる企業がある一方で、その運用に課題を抱えている企業も少なくない。特にアプリケーション開発にかかる時間やコストに頭を悩ます企業が増えている。
Salesforce自体は、少ない工数でアプリケーションを開発できる開発環境とツールを提供しており、開発作業のかなりの部分をノンコーディングで、グラフィカルなGUIツール上の操作だけで行えるようになっている。しかし、複雑な業務要件を実現するためには、プログラミングの知識も欠かせない。事業会社においての問題は、このツールを使いこなしてSalesforceアプリケーションを開発できるスキルを持つエンジニアの数が特に少ない点にある。
大手転職サイトを運営するビズリーチも、そんな課題を抱えていた一社だ。同社の事業戦略本部でBPR部の部長を務める祖川慎治氏によれば、この問題は年々深刻化しているという。
「Salesforceは年々ユーザーを増やしているにもかかわらず、エンジニアの数はなかなか増えておらず、需要と供給のバランスが取れていません。しかも日本においては、数少ないSalesforce開発エンジニアを擁するのがSIerで、ユーザーはSIerに依頼する以外に開発を行う手段がないのが実情です」
既存のSalesforceアプリケーションに、ちょっとした変更やカスタマイズを加えるだけでも、自社で行える人材がいなければ、SIerに依頼せざるを得なくなってしまう。ただ、そのたびに外部ベンダーに依頼して見積もりをもらい、検討してリリースする――という手順を踏んでいたのでは、現場の業務とアプリケーションの乖離(かいり)が次第に大きくなり、事業の変化や拡大スピードに追い付かなくなってしまう。
ビズリーチはさらに、頻繁にSalesforceアプリケーションを更新していく必要があったという。
「もともと小規模なベンチャー企業だった当社は、少子高齢化に伴う人材不足を背景に、ビジネス規模が急速に拡大してきました。ビジネスの成長に合わせて毎月のように営業戦略が変わり、そのたびにSalesforceアプリケーションに変更を加える必要があったのです。
ビズリーチに入社してから、営業戦略に基づくSalesforceのアプリケーションの構築とリリース、定着化を1人で一手に引き受けることで事業スピードに対応してきましたが、ビジネスの規模が拡大するにつれ、対応するのが難しくなってきたのです。このままでは、当社のビジネスで求められるスピード感に追従できなくなるのは明らかだったものの、社外のSIerに頼むと、ビジネス規模の拡大に対する対応スピードが鈍化してしまう。どうすればいいか、日々、悩んでいましたね」(祖川氏)
そんな祖川氏が解決策として選んだのは、「社内でSalesforce開発エンジニアを育成する」という方法だった。ビジネス課題を理解しているプロダクト開発のエンジニアをSalesforceのエンジニアにすることで、より現場の課題解決につながるアプリを開発できるのではないかと考えたのが、その理由だ。また、祖川氏自身が前職でSalesforce開発の講師を務めていたことも大きかったという。
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