初めての全社リモートワーク、めんどくさすぎる申請手続き、スマホの紛失対応――7人の情シスは、どうやってピンチを切り抜けたのか:俺たちの情シス 第12回 レポート(3/4 ページ)
初めてのリモートワークトライアル、スマホ紛失対応、めんどくさすぎる申請手続き、導入ツールが本当に生産性を高めているのか問題、社内相談の増加……。さまざまなピンチに情シスたちはどう対応したのでしょうか。
自治体とプログラミング教室のコラボ、情シスが架け橋に
4人目の登壇者となったCygamesの星野さんは、千葉県松戸市で開催している「”Cygames presents” Tech Kids CAMP in MATSUDO」の取り組みと、プログラミング教育団体へのPC寄贈の取り組みについて説明しました。
「Tech Kids CAMP in MATSUDO」は、Cygames・CA Tech Kids・松戸市が共同で開催している小学生向けのプログラミングワークショップ。開催のきっかけは、松戸市職員の方と雑談する中で、「継続的なプログラミング教育の場を設けたいと思っているものの、場所はあっても機材がない」という話が出たことだったそうです。
Cygames と同じサイバーエージェントグループのCA Tech Kidsには機材込みでどこにでも出張して実施できる「Tech Kids CAMP」というコースがあり、このコースをパッケージとしてCygamesが提供して開催する形をとることで、課題が解決できるのではないかと考え、三者の協力によって実現したとのこと。しかし、同社の取り組みは、それだけで終わらなかったのです。
「Tech Kids CAMP in MATSUDO」を開催した際、見学に来てくれていた「CoderDojoまつど」(ボランティアのプログラミングスクール)の方に星野さんがいろいろと話を聞いてみると、活動をしていく上での課題の一つは、やはり機材不足だったそうです。
そこで、Cygamesは、全国に165以上あるCoderDojoを対象に、「約350台のPCを寄贈」したのです。
寄贈したPCは、ゲーム開発の現場でスペック不足になったマシン。「当社の場合、ゲーム開発用PCが多いので、実際の開発目的ではスペック不足であっても、一般的な用途であれば十分以上のスペックがあります。そのため、廃棄予定のPCであっても、こうした用途であれば役に立つのでは、と考えました。この取り組みで課題解消のお手伝いができたと思います」(星野さん)
こうした取り組みをしていく中で、星野さんは情シス部門から離れ、CSR活動に仕事の主軸が移っていったそうです。
ITツールの導入効果検証を自ら実験
続いて登場したのは、ゼネコンに勤務するmelOn(メロン)さん。「ITツールは情シスに革命を起こせるか」というテーマでLTを展開しました。melOnさんは、社内でさまざまなITツールを導入しているものの、それによって生産性向上や業務効率化などの効果を実感できているかについては、確信が持てなかったといいます。
そこで、ITツールの導入効果を検証するのに何が必要かを見極めようと、「まず、自分自身を対象に実験」してみることに。「ダイエットをテーマに、果たしてITツールでどこまで改善できるかを検証してみようと、半分遊びで始めました」(melOnさん)。その結果、iPhoneで歩数計などのアプリを活用し、さまざまなデータを測定しながら取り組んだだけで、「余計なことをしなくてもガクッと体重が減った」そうです。
この経験から、melOnさんは、体重を減らすという「課題・目的を明確に」し、摂取カロリーを減らすなどの「ルールを決めて取り組む」ことで効果を体感できることが分かったと説明。結論として「ルールを定義することが大事。そこから、課題を絞って作戦を立てて取り組む。情シスとしては、業務の目的、業務の弱点を確認し、“ITはその課題を解決する手段にすぎないという意識を持つことが大切”」と語りました。
「技術は道具、手段であって、それが役に立つかどうかを決めるのは人間です。正しい目的やルールを見極めて、手段を選べるようになるには、さまざまな分野の知識が必要になります。そのために、情シスは、幅広くさまざまな分野の人たちとのつき合いを大切にしていくべき」(melOnさん)
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