「特定のプログラミング言語に縛られない実行環境」を、米国発のCDNベンチャーが開発する理由:Publickey(3/3 ページ)
多くの人が中継動画やオンラインゲームといったWebコンテンツを消費する今、大量のコンテンツを高速で配信する仕組みとしてCDNが注目を浴びている。そうしたベンダーの1つが、米国から日本に進出したFastlyだ。
実はNative Clientを検討していたが……
────数年前というと、WebAssemblyの登場以前からLucetに取り組んでいたのですか?
マクマレン氏: そうです。WebAssemblyより前、どのテクノロジーが私たちの目的に適しているかを調べていました。その1つがNative Clientです。ご存じですか?
────はい。GoogleがWebブラウザ上で実装しようとしていたものですね(注5)。
注5:Native Clientは、GoogleがWebブラウザ上でx86バイナリを安全かつ高速に実行できる仕組みとして開発していた(編集部)
マクマレン氏: ええ。そこで私たちもそれを試してみることにして、Native ClientをWebブラウザから取り出してサーバへ組み込んだのです。そして動くようになった頃に、GoogleのNative ClientチームはもはやNative Clientには取り組んでおらず、WebAssemblyへ取り組むようになっていたことを知りました(笑)。
────そうなんですか!
マクマレン氏: そうなんですよ。まあ、じゃあ、それなら私たちもWebAssemblyをやってみようか、となったわけです(笑)。
Mozillaと協力してWASIの開発にも取り組み
────Lucetの開発ではMozillaと協業しているとのことですが。
マクマレン氏: はい、これまで約2年ほど協力し合っています。Lucetの事前コンパイラにはMozillaの次世代コンパイラであるCraneliftを使っていますし、両社で開発に当たっています。
それに加えて私たちは今新たなWASI(WebAssembly System Interface)仕様の開発にも取り組んでいます。これは非常にエキサイティングです。これは、UNIXなどの標準API仕様であるPOSIX仕様に似ているもので、その第一歩を踏み出したところです。
Lucetの正式版はいつ登場?
────Lucetはいつ正式版になる見通しですか?
マクマレン氏: 2019年後半、もしくは2020年早々といったところだと思います。コンパイラなどはすでに一定の水準に達していますが、問題はそれらをFastlyの巨大で複雑なシステムにどうやって統合するのか、というところにあるからです。
────ありがとうございます。Lucetの登場を楽しみにしています。
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