「デジタルリーダーは10年先を見据えよ」――CEOに求められるデジタル改革の采配力とは:Weekly Memo(1/2 ページ)
日本企業のCEOがデジタルリーダーになるための要件とは何か。KPMGコンサルティングの宮原正弘社長がCEO調査の結果について記者会見したのを機に聞いてみた。
KPMGコンサルティングの調査に見る「CEO×デジタル」の関係
「デジタルリーダーはまず10年先を見据えた議論をせよ。技術をどう活用するかはそれからだ」――。KPMGコンサルティングの宮原正弘社長は、同社が先ごろ開いた「KPMGグローバルCEO調査2019」に関する記者説明会で、日本企業のCEO(最高経営責任者)がデジタルリーダーになるための要件についてこう述べた。
いったい、どういうことか。それを解き明かす意味でも、まずCEO調査の内容を見てみよう。この説明会は、同社が2019年6月に速報版として発表した同調査の日本語版がこのほど整備されたのを機に、宮原氏が調査結果を解説したものである。同社が主要11カ国のCEO1300人(うち日本のCEOは100人)を対象に毎年行っている調査で、前回も本連載で取り上げた。
今回は冒頭の宮原氏の発言を探るために、デジタルに関連する5つの質問に対する調査結果を紹介しておこう。
1つ目は、「企業の成長に最も脅威をもたらすリスクは何か」。グローバルと日本の上位リスク5つを見ると、図1のように、2019年はいずれも「環境/気候変動リスク」がトップになった。とはいえ、2018年に続き2019年も「最先端技術/破壊的技術のリスク」および「サイバーセキュリティリスク」といったデジタルに関連する項目が2つ入っているのが目を引く。
2つ目は、「競業に破壊される前に自ら自社の業界の破壊者になるように積極的に取り組んでいるか」。すなわち、「デジタルディスラプター」への挑戦である。図2のように、日本は2019年で同意する割合が59%となり、2018年から11ポイント増加した。しかし、他国と比べると11カ国中7番目となっており、日本では取り組みが遅れていることがうかがえる。
3つ目は、「自社の成長はビジネスの常識をチャレンジ、破壊する能力に依存するか」。すなわち、これまでのビジネスの常識を打ち破っているかという質問については、図3のように強く同意する割合として日本は33%となり、11カ国中10番目となった。
2つ目と3つ目の経営者の変革に対する意識についての結果に、宮原氏は「日本のCEOは、ビジネスの慣行や常識を革新的に壊すことにためらいが見受けられる」との見方を示した。
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