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週末エンプラこぼれ話:

AIは絵師を救えるのか? イラストの買いたたきを防ぐシステムが爆誕 (1/3)

ジーアングルは、写真で多く使われているAIの画像認識を応用し、イラストの価格を算出するシステム「アートディレクターAI」を開発した。同システムはどのように開発されたのだろうか。

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 人工知能(AI)が、今まで人間がしていた業務の代わりや判断の手助けなど、ビジネスで使用される機会が増えつつある。しかしAIを使ったシステムは、開発が難しかったり、学習させるデータがそろっていなかったりとハードルが高いと感じる人も少なくないだろう。

 今回は、AIシステムをほぼ一人で作成し、「イラスト」の価格算出に取り組んだ企業に話を聞いた。

イラストの評価、見積もりをAIで自動化する「アートディレクターAI」

 近年におけるAI技術の進化は目覚ましく、ビジネスのさまざまな領域への応用が進んでいるが、このほどコンテンツ制作会社のジーアングルが開発した「アートディレクターAI」は、中でも特徴的なものだといえる

 アートディレクターAIはその名の通り、人間のアートディレクターがする業務の一部をAIによって自動化しようというもの。ジーアングルはイラスト、楽曲、映像といったコンテンツ制作、各種Webシステムやアプリケーションの開発など幅広い業務を扱っている。中でも近年需要が多いのがソーシャルゲーム向けのイラスト制作案件だという。


ジーアングル 森 宏晃氏(執行役員 事業開発本部長)

 同社は社内にイラストレーターを抱える他、フリーランスで活動する社外のイラストレーターとも広く提携し、年間1200件ほどのイラスト制作を請け負っている。しかし、お客さま側との間で制作価格や工数見積もりの認識が合わず、そのことがトラブルの原因になることも少なくないという。こうした課題について、ジーアングル 森 宏晃氏(執行役員 事業開発本部長)は次のように説明する。

 「イラストの評価は経験や感覚に頼りがちで、制作費用の見積もり根拠をお客さまに論理立てて説明するのは簡単ではありません。お客さま側としても、一見同じように見えるイラストの価格に大きな隔たりがあると、『なぜこんなに価格が違うのか?』と疑問を持たざるを得ません。そこで、客観的にイラストの商業的価値を評価し、自動的に価格を算出するような仕組みがあれば便利だと考えていました」

 一方、森氏はちょうど同じ頃、個人的な興味からAIの勉強を始めていたという。

 「ネットの情報などを調べてみると、ここ数年の間で画像分野でAI技術のブレークスルーがあり、専門家でなくとも手軽に扱えるようになってきたことを知りました。もともと当社は画像関係のコンテンツを広く扱っていますから、これはぜひおさえておいた方がいいと考え、個人的に勉強を始めていました」

 ネットで最新の技術情報を調べるとともに、社外の勉強会やセミナーなどにも積極的に参加して、機械学習を使った最新の画像認識技術の学習に取り組んだ。もともとAIに関する予備知識は皆無だった同氏だが、かつてPythonを使ったソフトウェア開発に従事していたこともあってか、着実にスキルを身に付けていった。

 ある程度手応えをつかんだ段階で、「これはひょっとしたら、自社の業務にも役立てられるのではないか?」との考えに至り、社内でAIが適用できそうな業務を幾つかピックアップしていった。判断基準の1つに据えたのが、「人間でないとできないと誰もが思い込んでいる」ということだったという。

 「機械学習やディープラーニングが本当に役立つ領域は、これまで『人間にしかできない』と思われてきた分野にこそあるのではないかと考えていました。そうした基準で社内の業務をピックアップしていった結果、『イラストの評価や見積もり』が浮かび上がったのです」

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