データ活用によるオープンイノベーションでビジネス価値創出を支援――「丸の内データコンソーシアム」が設立(2/2 ページ)
三菱地所と富士通は、業種を超えたデータ活用で新たな価値や新事業の創出を目指す「丸の内データコンソーシアム」を設立。参画する企業や組織が、アイデア創出からフィールド検証まで一貫して取り組めるように多角的に支援する。
個々人の行動や施行を基に、丸の内に価値を創出
「街における活動関連データの取得・活用プロジェクト」では、「1.有機的データ連成プロセスの開発」「2.イベント及び商業施設活性化のためのSNSビッグデータ解析」「3.地震観測データの有用性検証」「4.来街者の行動データ解析」「5.廃棄物収集ルート最適化分析」を実証する。
「1.有機的データ連成プロセスの開発」は、丸の内に関わる人の各種行動(消費・移動・実業など)データをオープンイノベーション技術で結合し、意思決定プロセスを可視化して、注意を払うべきチャンスをAI技術で抽出する研究。東京大学 大学院工学系研究科 大澤研究室と三菱地所が主催して実施する。
「2.イベント及び商業施設活性化のためのSNSビッグデータ解析」は、丸の内エリアのイベントや商業施設の活性化を目指し、三菱地所が運営するSNSアカウントやWebコンテンツなどのビッグデータを解析し、丸の内エリアに興味を持つ人に効果的にアプローチできるよう、要因解析と改善を提案する。東京大学 大学院工学系研究科 大澤研究室と三菱地所が主催する。
「3.地震観測データの有用性検証」は、携帯電話の基地局に設置した地震計で測定する地震観測データと、三菱地所保有の地震関連データ、政府公表のオープンデータなどを組み合わせてデータ活用の可能性を検証する。ソフトバンクと三菱地所で実証する。
「4.来街者の行動データ解析」は、丸の内エリアに設置する約1000個のビーコンから取得する位置情報データを用いて、街における人のリアル行動データを解析し、就業者や来街者の性年代別、行動特徴、どこから来訪したかなどを解析して視覚化する。また、リアル行動データやIoTの活用で、来街者が行動特徴に応じてより快適に過ごせるようなイノベイティブなサービスを検討する。unerryと三菱地所で実証する。
「5.廃棄物収集ルート最適化分析」は、丸の内エリアで三菱地所が運営・管理する約30棟のビルを対象に、AIでビルの就業者数などから廃棄物の重量や個数を予測するなど、廃棄物を収集するタイミングを推定する。さらに、廃棄物収集車両の種類や耐荷重、収集における作業時間、各ビルの制約条件などを考慮した上で、量子コンピュータを活用して車両の運搬経路の最適解を導き出し、収集作業の効率化や車両走行距離の短縮を図る。グルーヴノーツが独自開発したAIと量子コンピュータを活用した最適化機能を搭載したクラウドサービス「MAGELLAN BLOCKS」を活用し、三菱地所と共同で実証する。
情報銀行サービスの活用で個々人に最適なサービスを創出
「情報銀行サービス実証プロジェクト」では、「1.副業マッチングサービス」「2.スケジュールマッチングサービス」「3.新たな旅のスタイルや余暇の過ごし方のサービス創出検討」を実施する。これらは、街を訪れる人の状況や嗜好(しこう)に合わせたサービスの実現性を検証するもので、パーソナルデータをサービスとして活用するためのデータ活用の仕組みの構築を目指し、その受容性やビジネス性を評価する。
「1.副業マッチングサービス」は、大日本印刷(DNP)、パーソルキャリア、富士通の3社共同で、丸の内エリアの副業希望者と新たな労働力を求める企業をマッチングする、情報銀行を通じた副業マッチングサービスの有用性とビジネスモデルを検証する。また、DNPと富士通で、社会実装に向けた情報銀行システムプラットフォームの機能検証を実施する。
「2.スケジュールマッチングサービス」は、富士通、電通、マイデータ・インテリジェンスの3社共同で実施。丸の内エリアのオフィスワーカーや来訪者を対象に、パーソナルデータを基に、個人のスケジュールや嗜好に合う丸の内のタウン情報やイベント情報を提案するサービスを実証する。実証のために開発したアプリケーションを通じて、本人同意のもと取得したスケジュールやパーソナルデータと、丸の内エリアのテナントやタウン情報、イベント開催のデータなどを掛け合わせて、利用者に最適な丸の内ライフの提案を目指す。
「3.新たな旅のスタイルや余暇の過ごし方のサービス創出検討」は、丸の内エリアのワーカーや来街者を対象に、パーソナルデータを活用して、新たな旅の体験をデザインすることを目的にサービス創出を検討する。JTB、富士通などが共同実証する。
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