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「偉い人」のITリテラシーを嘆く前に考えるべきこと:半径300メートルのIT(3/3 ページ)
「PCを使ったことがない」「YouTubeチャンネルの高く評価したリストに不適切な動画」「公式サイトが表示できない」……などなど、業界的にはインパクトの大きいIT担当大臣が話題です。しかし、人のITリテラシーを嘆いたり笑ったりする前に、ちょっとわが身を省みてみませんか?
「印鑑をデジタル化」のあるべき方向性は?
余談ですが、竹本氏の経歴で話題となっている「はんこ」に関しても一言補足しておきましょう。毎日新聞では「例えば印鑑の印章をデジタルで印字しておいてそれを送れば、印鑑を押したのと同じ効果を持つことも考えられる。そうすると印鑑を作る仕事は維持できる」と竹本氏が話したという記事が掲載されています。
これを読んで、確かに私も少し不安に思いました。印鑑文化は否定しません。しかし、印鑑の処理そのものを単にデジタルに移行することに意味はあるのでしょうか。いまや3Dプリンタを用いれば、実体のあるものをある程度の精度で複製できてしまいます。印影をスキャンしてデジタル化した“画像”なら、完全に同一のものを複製するのはとても簡単です。
印鑑をデジタル化するのは何のためでしょうか。これは、「デジタライゼーション」と「デジタルトランスフォーメーション」の違いを象徴する事例の1つかもしれません。
デジタルトランスフォーメーションとデジタル化の違いに関しては、上記の記事で掲載されている1枚の絵がすべてを語っていると思いますので、ぜひご参照ください。
願わくば、普及の進まないマイナンバーカードに「電子証明書の他に、リアル印鑑での認証も追加しよう!」などというあさっての方向に向かわなければいいのですが……。
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