IBM、HPE、Cisco、SalesforceのCEOメッセージにみる「コロナ禍を切り抜けるIT企業の姿勢」とは:Weekly Memo(2/2 ページ)
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、IBM、HPE、Cisco、Salesforceといった米IT大手のトップが相次いでメッセージを発信している。彼らの危機感と、現状を切り抜けるための覚悟とは――。
アフターコロナは「ニューノーマル」に
次は、CiscoのCEOチャック・ロビンス氏による顧客およびパートナー企業向けのメッセージから。現状については次のように語っている。
「新型コロナウイルスの感染が世界的に広がり、想像もつかなかった課題に直面している。いかにして、子どもたちが先生とつながり、(組織のリーダーたちが)自分のチームの保護に最善を尽くし、事業と生産性を維持すればよいのか。私が話した全てのお客さまや政府関係者は、このような課題に対する解決策を探している」
こうした状況下でCiscoはさまざまな支援を実施する考えだ。例えば、組織の事業継続性に対する支援では「皆さまが新型コロナウイルスと戦い、ビジネスの生産性を維持するために必要な機器およびソリューションを提供できると確信している」とロビンス氏は強調する。
組織としての覚悟について、同氏は次のように述べている。
「創業から35年が経過した。当社はさまざまな困難に立ち向かい、支援のためにテクノロジーを活用してきた。今後、『ニューノーマル』へと舵を切っていく中で、皆さまの組織に対してできるだけの支援を提供し、われわれの学びと経験を共有し、必要とされる方への手助けを行うことを約束する」
ちなみに「ニューノーマル」はリーマンショックの後に「経済は立ち直っても元の姿には戻らず、以前とは異なる状態が当たり前になる」という意味でよく使われた言葉だ。今の状況に照らし合わせて表現すると、いわゆる“アフターコロナ時代”は、ウイルス感染は沈静化したものの注意を怠ってはならず、そのリスクを踏まえた形で経済が動くといった「新常態」になることを示唆している。
最後に、Salesforce.comのマーク・ベニオフCEOによる顧客向けのメッセージから。現状については次のように語っている。
「私たちは現在、前例のない状況に直面している。新型コロナウイルスのパンデミックは、私たちの家族、ビジネス、コミュニティー、そしてライフスタイル全てに影響を及ぼしている」
そして、覚悟については次のように述べている。
「当社の5万人の社員は、このパンデミックに対応しつつ、お客さまの成功に向けて全力を注いでいる。当社は今のような状況にもしっかりと対応しうる会社であり、お客さまの成功を支援する決意はかつてないほど強くなっている」
さらに、ベニオフ氏はこう続けた。
「今のような状況により、私たちはかつてないほどの『つながり』に気付かされる。私たちは忍耐強く、理解し合い、思いやりを持つべく努力する必要がある」
考えてみると、感染力の強い新型コロナウイルスは、私たちを「分断」しようとしているのかもしれない。それを意識したときに、改めて「つながり」の重要性を知る。まさしくカスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)を手掛けてきたベニオフ氏らしいメッセージである。
IT分野を代表する4人のCEOのメッセージを紹介してきたが、中でも「できることから始めよう」「ニューノーマル」、そして「つながり」は、これからの重要なキーワードになるのではないだろうか。
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