無料サービスと引き換えに蓄積されるプライバシー情報、巨大企業に「自分の分身」を預けるのが怖いなら:半径300メートルのIT(2/2 ページ)
私たちは便利なサービスを利用するため、サービスベンダーにさまざまな情報を渡しています。検索キーワードや位置情報は、一つ一つなら大した情報ではありません。しかし長年にわたって蓄積されたこれらのデータには、確かな価値が生まれます。その価値によって得をするのは誰であるべきでしょうか?
「プライバシーの不都合な真実」の先にある「コントロール」とは
まずGmailなどの画面の右上にある自分のアイコンをクリックし、「Googleアカウントを管理」から、「プライバシーとカスタマイズ」(リンクはGoogleのアカウントを持ち、ログインしている場合に動作します。以降の説明も同様です)。
次にアクティビティ管理で、「ウェブとアプリのアクティビティ」「ロケーション管理」「YouTubeの履歴」それぞれを選択します。ロケーション履歴とは「Google Maps」などで記録される、移動履歴です。日記代わりの機能としては便利ですが、個人情報としてはとてもセンシティブなもの。しっかり管理しましょう。
ここで「ウェブとアプリのアクティビティ」をクリックすると、データの保存期間を選択できます。おそらく多くの方が、初期設定の「手動で削除するまで保存する」になっているのではないでしょうか。これを18カ月間、あるいは3カ月間とし、有効期限が経過した後は削除されるように設定し直しましょう。
プライバシー情報が長期間にわたって大量に蓄積されると、デジタルツインを作れるほどさまざまな推論が可能になってしまいます。上記の設定で、少なくともGoogleのサービスに関しては自分の情報の保持期間をある程度コントロールできます。「ロケーション管理」「YouTubeの履歴」は保持の停止もできるので、同社のサービスを利用しつつプライバシーを守ることも(ある程度は)可能となるでしょう。
そのサービスにプライバシーコントロールの機能、ありますか?
プライバシーに関する情報といえば、どうしても「GAFA」に代表される巨大IT企業に対する警戒心が強くなるでしょう。しかし一方で、「大きな企業ほど、ユーザーが自身の個人情報をある程度コントロールできる」という側面もあります。
上記でGoogleに対する個人情報の管理方法を紹介しましたが、GAFA以外のサービスで同様の機能を見たことがあるでしょうか。おそらく、ほとんどないはずです。まず「9年間の利用履歴、総計2.74ギガバイトのデータを自分の手でダウンロードできた」という時点で、かなりしっかりと個人情報を管理しているといえます。
もしあなたが日本以外の人も利用可能なWebサービスを提供しているのであれば、昨今の欧州などで定められた個人情報保護のルールに準拠し、利用者から個人情報の提供を求められた場合に同じことができなければなりません。
プライバシーをすべて明け渡すことと、便利なネット機能を活用することはイコールではないはずです。プライバシー情報をいかにコントロールできるか、私たち自身も気を付けなければならない時代が来ています。
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