ゲームチェンジを狙え――Amazon、Microsoft、GoogleのサービスがつながるNTT Comのマルチクラウド戦略とは:Weekly Memo(1/2 ページ)
複数のクラウドサービスを安全に使いたい――。そんな企業の要望に、NTT Comが応えた。Amazon、Microsoft、Googleのサービスがつながる同社ならではのマルチクラウド戦略とは。
ハイパースケーラーとの「共生」路線を模索
「お客さまは自分たちが使いたい複数のクラウドサービスを有機的につなげて、セキュアなデータの利活用を実現できるIT環境を求めている」――。NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)代表取締役社長の庄司哲也氏は、同社が先頃オンラインで開いた2020年度事業戦略の記者会見でこう強調した。
NTT Comといえば、いわゆるメガキャリアだが、固定電話事業の減退などにより、かねて新たな事業としてクラウドサービスに注力してきた。一時期は、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft、Googleといった、クラウド業界の「ハイパースケーラー」(庄司氏)と真っ向から対抗したこともあったが、ここ数年は「共生」路線を模索してきた。
それが具体化したサービスの中身について、庄司氏が今回の会見で図解で説明したので、本稿ではNTT Comならではのマルチクラウド戦略と捉えて注目してみたい。
まずは、2020年度事業戦略の要点を挙げておこう。同社は新たな事業としてクラウドサービスを含めた「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を掲げ、その事業基盤として2019年9月に「Smart Data Platform(SDPF)」の提供を開始した。その内容については、2019年10月7日掲載の本連載「新たな創業へ――NTT Comが打ち出したDXプラットフォーム事業戦略」を参照していただきたい。
庄司氏が事業戦略の重点施策として挙げたのは「SDPFの拡充」「ソリューション提供能力の強化」「新規事業の創出」の3つ。いずれもサービスの内容やプロジェクトの推進体制などを一層強化していく構えだ。その中で、マルチクラウド対応はSDPFの中核となるサービスの1つとして位置付けられている。
では、庄司氏の話をもとに説明していこう。まず図1が、ICT市場の動向の変化を表したものである。これまでは、さまざまなユーザー企業とさまざまなクラウドが一様にネットワークでつながっている形だった。しかし、これからは、ユーザー企業が複数のクラウドを利用するようになる。同氏は「既に大企業の8割以上がマルチクラウドを利用している」とも。そこでポイントとなってくるのが、マルチクラウドを実現するためにはクラウド同士もつなげる必要があるということだ。
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