“ニューノーマル”を見据え、企業が取り組むべきコロナ危機対策とは:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業がコロナ危機後の“ニューノーマル”を見据えて取り組むべき課題とはどのようなものか。IBMが説く「ソリューションのベースとなる考え方」をひもときながら考察してみたい。
日本IBMが掲げる4つの目標と7つのテーマ
新型コロナウイルスの感染防止に向けた働き方として、テレワークによる在宅勤務が広がっている。企業の対策としてもテレワーク環境の整備ばかりが注目されがちだが、いわゆる“コロナ危機”の中で事業を継続していくためにやるべきことはまだまだたくさんある。
どんな取り組みが必要か。米IBMが5月6〜7日にオンライン形式で開催した年次イベント「Think Digital Event Experience」を受けて、日本IBMがその点について同じくオンライン形式で記者説明会を開いた。その内容が示唆に富んでいたので紹介したい。
説明役の日本IBMパートナーの鹿内一郎氏(グローバル・ビジネス・サービス事業本部コグニティブ・プロセス変革事業コグニティブプロセス・リエンジニアリング&サービス担当)は、まず図1を示しながら、「日本では企業がコロナ危機において『混乱』から『慣れ・状況適応』のフェーズに入ったところだ」との見立てを述べた。
図1は、左からコロナ危機に対する日本企業の対応フェーズを示している。社員の安全・衛生管理や業務継続性が問題視された「混乱」から、現在は業務継続性とともにコスト削減や収益改善に取り組み始めた「慣れ・状況適応」のフェーズに入った。その後に訪れるのが、新しい働き方や商習慣・業務態勢による「ニューノーマル」(新常態)の時代だという。
では、企業はニューノーマル時代を見据えて何にどう取り組めばよいのか。IBMは次の「7つの顧客ニーズへの対応」を打ち出している。「ITレジリエンシーと事業継続性の強化」「新たなサイバーセキュリティリスクへの対処」「クラウドを活用した機敏性と効率化の促進」「運用コスト削減とサプライチェーン継続性の確保」「リモートワークの促進」「Watsonによる顧客とのバーチャルな関わり」「医療や行政サービスの支援」である。
日本IBMはこの7つの要素を踏まえ、企業がニューノーマル時代に向けて実現すべき目標として、「コア顧客との関係強化」「コスト削減」「省人化の加速」「リスク態勢強化」の4つを掲げている。そして、それら4つの目標を達成するための戦略と強化テーマとして次の7つを挙げている。
- コア顧客の保持・ロイヤリティー強化
- コスト削減・適正化の加速
- 業務での省人化・自動化の徹底
- リスク管理強化
- バーチャル・機動的なワークスタイル
- 在宅態勢整備
- BCP(事業継続計画)態勢再整備
図2は、これらの構図を示したものである。鹿内氏によると、1〜5は中期の次世代戦略テーマ、6〜7は短期の業務継続基盤の強化テーマで、1〜4はほぼ実現目標と重なった表記にて取り組むテーマとなっている。
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