ゼロトラスト時代へ、ポストコロナに向けた企業ITの勘所:Weekly Memo(1/2 ページ)
コロナ対策でテレワークが浸透するにつれ、ネットワークやセキュリティの在り方について懸念する声が高まってきている。それを踏まえ、企業はポストコロナに向けてITインフラをニューノーマルに合わせていく必要がありそうだ。
企業のITはビジネスの継続を支えるためにある
「ポストコロナに向けて、企業は自らのITインフラやセキュリティの在り方を根本的に見直す必要がある」――。こう語るのは、パロアルトネットワークスでチーフサイバーセキュリティストラテジストを務める染谷征良氏だ。同氏はサイバーセキュリティの分野で20年以上にわたって第一線で活動してきたスペシャリストであり、最新事情に詳しい。
そんな染谷氏が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による昨今の騒動やポストコロナに向けた企業のITについてどのように見ているのかを聞こうと、筆者は取材を申し入れた。すると快く引き受けてもらえたので、以下にその内容を紹介しながら、ポストコロナの企業ITについて考察したい。
染谷氏はまず、COVID-19が企業ITに与えた影響について次のように述べた。
「COVID-19対策でテレワークによる在宅勤務が一気に広がったが、ここにきて例えばVPNの制約などによってネットワークが不安定になると懸念する声なども高まっている。この現象が象徴するように、どのような状況においてもビジネスを継続させることが大命題である企業にとって、今回のCOVID-19対策はそのビジネスを支えるITインフラをしっかりと整備してきたかどうかが問われた形になったのではないか」
その結果、多くの企業で整備が追い付いていない状況が明らかになった。染谷氏は、日本企業の事業継続性に影響を与える環境的問題として、今回のパンデミック(感染症による世界的大流行)だけでなく、図1に示すように大規模な地震や洪水、大型台風など、さまざまなリスクを挙げる。そうした中で同氏が「今回こそ」という意図を込めたのが、冒頭の発言である。
では「根本的に見直す必要がある」というITインフラやセキュリティの在り方とはどういうものか。同氏は重ねてこう強調した。
「企業にとって最も大事なことは、どんな状況においても事業を継続し、成長させていくことだ。ネットワークやセキュリティを含むITインフラは、ひとえにそれを支えるためのもの。逆に言うと、ITインフラが整備されていなければ、企業は事業を継続する上で大きなリスクを抱えることになる。企業にはぜひこの考え方をベースに、ITインフラの整備に取り組んでいただきたい」
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