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「絶対に落ちてはいけないシステム」のクラウドシフト加速へ 日本オラクル三澤社長“強気の戦略”を語る日本オラクル 三澤新社長インタビュー【前編】(1/2 ページ)

2020年12月、日本オラクルの社長に三澤智光氏が就任した。同社で長年主力のデータベース事業やクラウド事業に関わり、一度は競合の日本IBMでクラウド事業を率いた経験を持つ同氏が、就任後すぐに打ち出したのが新たなクラウド戦略だ。社会を支えるシステムを支えるベンダーの責任が増す中、あえて大規模な組織のニーズを狙う“強気”はどこから来たのか。その背景や今後の方向性について聞く。

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 2015年、日本オラクルでクラウド事業の「顔」としてビジネスをリードしていたのが、当時副社長だった三澤智光氏だ。2016年には日本IBMに転じ、IBMクラウド事業本部長としてIBM Cloudのビジネスをけん引した。そして2020年12月、日本オラクルの執行役 社長として再び指揮を執ることになった。

 一度競合に転職した人物が再び戻り、新たな戦略を掲げて企業を率いる例はそう多くない。しかも、今回の舞台は激しい競争と変化が続くクラウド市場だ。就任会見で「(自身が日本オラクルを一度離れた)5年前と大きく変化した」と述べた日本オラクルのクラウド事業で、同氏は市場に何をもたらそうとしているのか。戦略の背景から技術的なポイントまで、前後編にわたってお届けする。

 社長就任に至ったきっかけについて、三澤氏は「長年IT業界にいると、何らかの形で社会に貢献したいと考えるようになり、そのために社会インフラに携わりたくなる。面倒で大きく、社会にインパクトを与えるシステムに携わることで、やりがいを得たいと考えた」と話す。日本に拠点を置く外資系のITベンダーのうち、そのような挑戦の機会を得られるのは「日本オラクルか日本IBMくらいだと思う」と語る。

「社会インフラ」化するデータベースや業務アプリを、クラウドでどう支えるか


日本オラクルの三澤智光社長

 Oracleは、今でこそ営業やマーケティングなどのフロントオフィス、総務や会計といったバックオフィス向けのアプリケーション群で知られるが、今も事業の根幹はデータベースにある。

 「『Oracle Database』が止まれば、インターネットバンクや証券会社などが提供するさまざまなサービスが止まってしまう。世の中の極めて重要な部分を担う責任は重い」(三澤氏)

 三澤氏が離れていた5年間、日本オラクルそのものはそれほど大きく変わっていない。現状の経営陣には、三澤氏が以前から一緒に働いていたメンバーも多いため、新たな経営体制は、同氏によれば比較的違和感なくスタートを切れたという。

 一方で、扱う製品やサービスは大きく変わった。Oracleの好調な業績について語った際、三澤氏が強調したのがSaaS(Software as a Service)の功績だ。

 「5年前に比べ、SaaSの完成度はかなり向上している。大企業が真に利用できる(必要な機能を全て備えた)フルスイートのSaaSは、Oracleにしかない」と、同氏は話す。

 同じ期間に大きく変わった点がもう一つある。それがクラウドのインフラだ。Oracleが2018年に「Gen2 Cloud」(第2世代のクラウド)として刷新したパブリッククラウド「Oracle Cloud」を支える「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)がこれに当たる。

 クラウドベンダーとして、Oracleが他社と姿勢を異にするのが、IaaS(Infrastructure as a Service)とPaaS(Platform as a Service)を区別しない点だ。その背景について、三澤氏は「IaaSとPaaSは一体であり、トータルでセキュリティや信頼性、性能を確保する必要がある」と話す。そのための大きなインフラがOCIというわけだ。「OCIで世界最大規模のSaaSが動いている。このような特殊な構成のクラウドサービスは他にない」と、三澤氏は自信を見せる。

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